中国の各都市でデモが行われるなど、中国のゼロコロナ政策への議論が世界中に広まっており、メディアや識者の論調は偏っており表面的に留まっている。パンデミックが始まって3年半以上経ち、他国が収束を迎えるとき、なぜ中国は厳しいコロナ政策を続けているかについて、今さらと思われるかもしれないが、今だからこそ、別の角度から原因と現状を述べたい。

SARSの成功体験がもとになっている

まず言えるのは、ゼロコロナ政策はSARS(重症急性呼吸器症候群)対策の成功体験からきたものだ。2002年から2年間、香港・広州・北京を中心に広まったSARSは、中国のウイルス感染対策にとって大きなイベントだった。未曾有のウイルス感染症に対し、有効だと思われる手段は、人々の移動を抑えることだった。

北京出身の筆者は当時学生で通学が止められ、授業をテレビで受講し、塾も行けず、数カ月間ほとんど家にいた記憶がまだ新しい。通勤は許されていたが、他地域との往来がほとんどなかったので、渋滞で有名な道路も「信じられないほど」空いていたようだ。

北京市内から離れた病院をSARS専門病院にし、患者を集中し治療が行われたようである。市民の生活に一定の影響があったものの、当時国際交流は今ほど盛んではなかったのもあり、ウイルスの感染がコントロールされ、SARSの流行はあっという間に去っていったのだ。

こうした「成功体験」があるから、コロナが始まったときから、いち早くSARSで学んだ「移動を抑える」ことを応用した。「チャイナスピード」で建てられた専門病院もSARS対応経験からの習得だと言える。また、近年猛スピードで発展してきたテクノロジーを加え、QRコード・位置情報の活用により濃厚接触者への特定が正確で速く行われた。