20〜30年以上経った今でも語り継がれるクルマが、続々と自動車メーカーから投入された1990年代。その頃の熱気をつくったクルマたちがそれぞれ生まれた歴史や今に何を残したかの意味を「東洋経済オンライン自動車最前線」の書き手たちが連ねていく連載第4回。

1765ミリの全幅と2.2Lエンジンの3ナンバー車

1990年代は、まだまだ2ドアクーペが元気だった。代表的な車種にホンダ「プレリュード」がある。3代目のBA4/5/7型(1987〜1991年)はバブル絶頂期の1988年に約5万8000台(月平均で約4830台)を売り、翌年に約8万1000台(月平均で約6750台)を販売した日産自動車「シルビア」(S13)とともにデートカーと呼ばれ、若者に親しまれた。今では信じられないほど2ドアクーペの人気があった。

ホンダの3代目プレリュード リトラクタブルヘッドライトも特徴的だった3代目プレリュード(写真:Honda Media Website)

1991年に登場した4代目プレリュード(BA8/9/BB1/2/3/4型、1991〜1996年)は、「NSX」(1990年)が牽引するスポーツイメージと、「レジェンド」2ドアハードトップ(同年)に見られるラグジュアリー的なイメージをうまく併せもっていた印象だ。

全長4440×全幅1765×全高1290ミリ。5ナンバー枠(全幅1700ミリ未満、エンジン排気量2000cc未満)を軽く超える車幅と、2.2リッターに拡大された排気量によって、当初から3ナンバー車というのも話題になった。

ホンダ 4代目プレリュード リアスタイルも優雅だった(写真:Honda Media Website)

当時ホンダがよく使ったのは「ワイド&ロー」なる表現、4代目プレリュードは3代目より全幅を70ミリ拡大。全高を5ミリ下げるいっぽう、全長は80ミリ縮めている。

曲面を多用したボディと、先代の格納式ヘッドランプを廃したフロントマスクは、力強さを感じさせるもの。

「スペシャルティカーとして、未来感を演出」とは、このクルマのエクステリアのテーマについて、当時のホンダがプレスリリースに記した文言である。

「生きるものの走る姿や躍動感を表現。精悍なマスク、引き締まったテール、全身に力強さを秘めたシャープなフォルム」。こんな表現がされている。