かつて50㎡で10万円にまで暴落していた越後湯沢のリゾートマンション価格が底を打ったようである。コロナ以前に比べると地元不動産会社への毎月の問い合わせは約2倍に増加。売買平均価格も200万円近くまで上昇し、賃貸問い合わせも急増している。いったい何が起こっているのか。

コロナ禍で状況が一転した

越後湯沢は1990年代のスキーブームでリゾートマンション(以下リゾマン)が急増した地域として知られる。2022年3月に人口が8000人を切った湯沢町に57棟、1万4665戸が建っているというのだから普通ではない。2007〜2008年頃からは利用者の減少が目につくようになり、コロナ以前には度々価格の暴落が報じられた。10万円物件はおろか、売る側が「結納金」を払わなければ買ってもらえない物件があったほどである。

だが、コロナ禍で状況は一転した。テレワークなどが可能になったことで、地方の、環境がよく、広い不動産に目を向ける人が増えたのだ。通勤頻度が減ったことで、越後湯沢に限らず、都心から1時間前後圏では湘南、伊豆や軽井沢方面などでは賃貸住宅が、リゾート物件のある地域ではリゾマンなどの需要が増えている。

だが湯沢の動きが目立つのには理由がある。1つは価格。エンゼル不動産湯沢店の角谷謙氏によると、コロナ以前は50万円を下回るくらいの売買取引が半分近くだったというが、ここのところ急上昇している。

「コロナ禍で問い合わせが増え、月によっては以前の2倍ほどになり、賃貸件数はこれまで月30〜40件だったものが先月は60件になりました。販売価格も2022年9〜12月の平均で約210万円にまで上がりました。10万円物件、結納金物件も少なくなってきました」