対話型AIとして劇的な性能を備えたChatGPTの登場に大きな衝撃が走っている。多くの人は、対話型AIにクリエイティブな仕事を求める。しかし、それは、無理な要求だ。ただし、対話型AIは、資料のありかを教えてくれるなど、力強い手助けになる。だから、無視してはならない。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第91回。
対話型AIをどう使えばよいか?
対話型AIが利用可能になり、さまざまな反響を呼んでいる。
どのような利用法が可能だろうか? これまでいろいろ実験して、ある程度の方向感をつかむことができた。
利用法を考える場合にもっとも重要なのは、出力された内容が正しいという保証はまったくないと、十分認識することだ。出力された文章は、文法的にはほぼ完璧で、知的な人間が書いた文章と見分けがつかない。このため、書いてある内容を信頼したくなる。しかし、そうではないのだ。
では、内容の正しさが保証されないから使い道がないのかと言えば、そうではない。それを踏まえた上での利用法はある。
以下では、このような観点から、対話型AIの利用法を探る。
価値が高い利用法として、まず「翻訳」がある。
例えば、内容を指定して、英文のメールを書いてもらう。あるいは、外国の文献を指定して、訳してもらう。
翻訳はすでにGoogle 翻訳などでもできることだが、対話型AIだと、かなり長い文章もできる。また、翻訳された英文も、Google 翻訳よりはこなれたものになっているように思われる。