5月29日発売の『週刊東洋経済』では「四季報記者が教える決算書の読み解き方」を特集。財務3表の構造を基礎から解説するほか、多種多様な企業の決算書を読み込んでいる四季報記者の分析のツボも紹介している。決算書から「会社の実力」を見極めるスキルは、投資にもビジネスにも欠かせない。今が学び直しのチャンスだ。(この記事は本特集内にも掲載しています)

1兆2000億円を超える負債総額は、国内の製造業で過去最大の規模となった。

2022年7月、東京地方裁判所に簡易再生(民事再生の一種)を申請した、自動車部品大手のマレリホールディングス(HD)。かつて“名門”といわれた会社の破綻の余波は大きく、取引先の自動車メーカーなどに混乱が広がったほか、金融機関は4500億円もの債権放棄を迫られることとなった。

適用するのが民事再生法であれ、会社更生法であれ、会社が潰れることを日本では広く「倒産」という。もう少し正確に言うなら、経営が行き詰まり、本来弁済しなければならない債務を返せなくなる状態のことを指す。

「廃業」と「倒産」の違い

会社を畳む際に「廃業」という言葉を使うことも多いが、倒産との定義の違いは決算書で考えるとわかりやすい。破綻時の貸借対照表(BS)において、資産の総額が負債の総額を上回っていれば廃業、その逆、つまり債務超過の状態であれば倒産とするのが一般的である。資産で債務を弁済できなくなる分、取引先が被る迷惑は倒産のほうが大きい。