一方、重要な半導体市況については好転が期待できる状況になってきた。日本の鉱工業生産をみる限り、半導体関連(電子部品・デバイスや半導体製造装置)の生産はいまだ上向いていないが、IT関連財の生産集積地である韓国や台湾ではすでに回復の兆候が散見される。

そこで韓国の製造業PMI(購買担当者景気指数)に目を向けると10月時点では49.8と小幅に50を下回っているとはいえ、1〜3カ月先の生産活動を読むうえで有用な新規受注・在庫バランスは夏場以降に明確な改善基調にあり、先行きの生産復調を示唆している。

世界的にスマホ販売は依然として低調であるが、半導体を含む電子部品の在庫調整が進展する下で、韓国においては半導体生産が上向き始めているのだろう。鉱工業生産における半導体生産は前年比で2割近い増加基調にある。

次に台湾に目を向けると、こちらも底打ちが明確化しつつある。11月20日に発表された10月の輸出受注は前年比マイナス4.6%へとマイナス幅が縮小し、2023年3月のマイナス25.7%から明確に底打ちしている。主力の電子製品がマイナス0.3%へとプラス圏が目前に迫り、情報通信技術(ICT)製品もマイナス5.2%と、やはり回復が明確化している。

円安進行が日本の株価指数を上昇に導く仕組みとは?

また台湾の電子部品の出荷と在庫の前年比差分をとった出荷・在庫バランスは3月のマイナス41.6%から急速に切り返し、直近値の8月はプラス0.4%と26カ月ぶりにプラス圏に回帰した。

今後、生成AI向けの先端半導体に加え、コロナ初期局面にあたる2020年に購入されたPCの一部が買い替え期に差しかかるなどして需要が持ち直せば、シリコンサイクルは次なる上昇局面を迎える蓋然性が高まる。中国経済の回復は遅々としているものの、IT関連財の在庫調整が進展し、製品需給が均衡点に向かいつつあると判断される。

円安も株価の押し上げ要因であると理解している。日本経済全体として円安がプラスに働くか否かは甲乙つけがたいが、ドル建て資産を豊富に有する企業(もちろん非製造業も含む)や輸出を手がける企業にとって、大半の場合は増益要因となる。

GDPに占める製造業のウェートは約2割にすぎないいっぽう、株価指数に占める割合はTOPIX(時価総額)でも日経平均(採用銘柄数)でも約6割と大きく、恩恵が及びやすい。円安局面において日本株がアメリカ株に対して相対優位となる傾向が見て取れるのは、それが一因だろう。