年末恒例の漫才コンテスト、「M-1グランプリ」。このコンテストをゼロから立ち上げた元吉本興業の谷良一氏が舞台裏を書き下ろした著書『M-1はじめました。』が刊行されました。

谷氏はM-1を企画するまで、芸人のマネージャーなどをしていました。そこで出会った異才たちとのエピソードをつづった連載エッセイ「天才列伝――ぼくの出会った芸人さんたち」を、『お笑いファン vol.3』から抜粋・再編集してお届けします。このエッセイで描かれるエピソードに、M-1創設につながる、著者の芸人に対する価値観が見え隠れします。

今回は間寛平編の前編です。

間寛平さんという異質な天才

今回取り上げるのは間寛平さんである。

寛平さんが天才? そう聞いて首をかしげる人は多いかもしれない。

確かに、さんま、紳助、ダウンタウン……という誰もが認めるような天才たちに比べると寛平さんはかなり異質である。

この人たちは絶妙な話術によって笑いを取る。それに対して寛平さんはどうか。当意即妙のアドリブを言うわけでもなく、レトリックを駆使して笑いを取るわけでもない。