2月22日、日経平均株価の終値は3万9098円となり、平成バブル期の1989年12月29日につけた3万8915円を超えた。実に約34年ぶりの史上最高値更新となった。

「失われた30年」を脱しようとしている日本株は、上り調子をどこまで維持できるのだろうか。イギリスに本拠を置くシュローダー・インベストメント・マネジメントで日本株式運用総責任者を務める豊田一弘氏に聞いた。

大型株が先行、中小型株も続く可能性

――日経平均株価が過去最高値を更新しました。日本株の強さをどうみますか。

TOPIX(東証株価指数)でいうと、その上昇幅は2023年が25%に対して、2024年は約2カ月ですでに12%。日経平均の最高値の更新自体に驚きはないが、ややピッチが早いという印象は受けた。

上昇には複数の要因がある。1つは東京証券取引所による、資本コストや株価を意識した経営の要請だ。2023年3月期の本決算発表時から、複数の日本企業が要請に応える形で資本政策を見直し、直近でも日本を代表する企業が持ち合い株式の解消をアナウンスした。資本効率の改善という強気の見通しを投資家が持てるようになった。

10〜12月期決算はマーケットの期待値を上回っている。アメリカ経済は力強く、日本銀行もマイナス金利解除後に金融緩和政策を継続するとアナウンスしている。日本株に対して、複数の追い風が吹いている。

――業種やセクターでの濃淡は。

株高の原動力は外国人投資家であり、大型・バリュー株が株価を牽引している。逆に言えば、中小型株は出遅れ感が非常に強い。(大型株で構成する)TOPIX100が年初来で15%上昇しているのに対して、TOPIXスモールは6%にとどまる。

これは今年だけの現象ではなく、近年ずっとアンダーパフォームだ。とはいえ、バリュエーションで見れば中小型株は魅力的。大型株が先行し、その後に中小型株が続くパターンは今回も起こるのではないか。

業種別では半導体関連産業が強いが、米中分断によってグローバルでサプライチェーンを築くのではなく、各国が自ら工場を建設し、生産する世界へと移行している。そうした動きの恩恵を受ける産業はいくつかある。