中国政府はこれまで、新エネルギー車の普及促進を積極的に後押しする一方、省エネルギー車に対する優遇措置は徐々に減らしてきた。

例えば、政府は(コロナ後の景気対策の一環として)2022年6月から同年末まで、車両価格が30万元(約634万円)以下、排気量が2000cc以下の低燃費車を対象に自動車取得税を半減する優遇を実施した。

ところが、並行して実施された新エネ車に対する優遇措置が、規模を縮小しつつも2027年まで継続が決まったのに対し、省エネ車の優遇措置は予定通り(2022年末で)打ち切られた。

また、交通渋滞が激しい大都市ではナンバープレートの新規発給を制限しており、そのなかで新エネ車を優遇している。例えば広東省広州市では、新エネ車を購入すれば確実にナンバープレートを取得できるが、省エネ車では抽選制になっている。

自動車業界から優遇拡大の要望

そんな中、省エネ車に対する優遇拡大を要望する声が自動車業界内からも上がっていた。

日系メーカーとの合弁会社を持つ広州汽車集団の馮興亜・総経理は、省エネルギー車の優遇拡大を中国政府に要望した(写真は同社ウェブサイトより)

「中央政府は省エネ車に関する中長期的計画と優遇措置を早急に定め、関連措置を改善し、(省エネ車の)安定的発展を後押ししてもらいたい」

国有自動車大手の広州汽車集団の総経理(社長に相当)で、全国人民代表大会の代表(国会議員に相当)でもある馮興亜氏は2024年3月、全人代の開幕直前にそう述べた。

広州汽車集団は、広汽トヨタと広汽ホンダという(日本の自動車メーカーとの)2つの外資系合弁会社を傘下に持つ。両社はHVを中心に多数の省エネ車をラインナップしており、優遇拡大の恩恵が大きい。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は4月12日

著者:財新 Biz&Tech