金(ゴールド)市場は今後も高値を更新し続けるのだろうか。

国際指標であるニューヨーク先物市場の価格(中心限月である6月限)は、3月後半には1トロイオンス(約31.1グラム)=2200ドルの節目を意識、モミ合い状態が続いていた。だが4月に入ると買いが加速。一気に史上最高値を更新し、12日には初めて2400ドル台まで値を切り上げる展開となった。

国内の小売価格(地金商最大手の田中貴金属工業)も、円安が進んだこともあり、22日に1グラム=1万3105円と過去最高を更新している。

今回の上昇局面で特筆すべきなのは、本来は金にとっての逆風、つまりアメリカの長期金利が再上昇し、ドル高が続く中で、金価格上昇の勢いが収まらない点だろう。

足元で金市場を動かしている真の要因はいったい何か。こうした流れはいつまで続くのか、逆に一転して大きく値を崩すリスクはないのか。金ETF(上場投資信託)などでの投資ニーズも高いことから、経済状況をにらみながら分析してみよう。

アメリカのインフレ圧力は市場の想定以上に根強い

まず、金市場の動向にいちばん大きな影響を与えるとされる、金利やドルの動向を確認しておきたい。

インフレが高止まりする中、アメリカの長期金利は上昇傾向が強まっている。4月10日発表の3月の消費者物価指数は前月比0.38%上昇と、1月や2月に続いて想定以上の強い伸びとなった。変動の激しいエネルギーと食品を除くコア指数の前年比で見ても、わずかながら昨年3月以来で前月を上回る伸びとなっている。

また、エネルギーが前年同月比で2.12%上昇し、昨年2月以来となる前年比プラスに転じたほか、サービス価格も同5.27%上昇し、4カ月ぶりに5%台の伸びとなった。

これまでインフレ圧力は後退してきたとされてきたが、あらためて強まる兆候が見えている。26日に発表された3月の個人消費支出のコア物価指数も前年同月比2.8%上昇で、やはりインフレ圧力の根強さを示した。