2023年度実績で営業収益が9600億円台の伊藤忠エネクスの事業領域は、ガソリンなどの燃料卸・小売りだけにとどまらない。

カーディーラー事業には2014年に参入。日産の正規ディーラーで100店舗超を抱える日産大阪販売を傘下に抱える。ディーラーネットワークも100店以上に及ぶ。中古車販売、レンタカーのサービスも手がけている。

自動車関連サービスだけをみても、同じ伊藤忠傘下で中古車販売のヤナセやニッポンレンタカーを持つ東京センチュリーと比べ、事業の幅広さが特長だ。

249店舗を引き継ぐウィーカーズとしても頼りになる存在だ。「現場力の高い伊藤忠エネクスの力を借りて、少しでも早く再建を進めていきたい」と田中社長は語る。実際、伊藤忠グループからの50人以上の派遣部隊のうち40人程度が伊藤忠エネクスからの派遣だ。今後も同社からの派遣部隊は増えるという。

伊藤忠エネクスの関係者は、「新会社の中古車仕入れ、販売網がわれわれの事業と親和性が高いのはもちろん、一等地にある店舗を物流拠点として活用することもできる。当社にとっても事業の可能性が広がっていく」と話す。

伊藤忠エネクスとしても精鋭部隊を送り込み、早期に黒字化を実現して取り込み利益を得たい考えだ。

ビッグモーター創業家とは決別

一方、ウィーカーズの問題は、自動車保険の水増し請求をはじめ、街路樹の無断伐採など度重なる不祥事でビッグモーター時代に失墜した企業イメージをどう払拭するかだ。社名や看板を変えるだけで信頼が回復するわけもない。

ウィーカーズは会社発足とともに「改革貫徹本部」を立ち上げた。コンプライアンスについては、弁護士事務所のもとで内部通報制度を導入し、不法行為の洗い出しや予防に努める。不正行為の背景となった利益至上主義の人事評価も改め、顧客満足度を可視化したうえで従業員の評価に反映させる。

「組織風土の改革は一丁目一番地としてやっていきたい」と田中社長は意気込む。改革の詳細は、進捗を含め秋口に改めて開示することになるという。