コストと航続距離はEV市場の成長にとって重要な障害であるが、特にアメリカでは充電器のインフラが限られていることは、EVの潜在的購入者にとって同じくらいの懸念事項だと考えられている。

テスラが初代モデルSセダンを発売した2012年に初めて開始されたスーパーチャージャー・システムは、アメリカ最大のEV公共充電器ネットワークに成長し、最も信頼性が高いと広く評価されている。その結果、テスラの販売台数が伸びただけでなく、ライバルの自動車メーカーからも賛辞を受けるようになった。

この1年で、アメリカで事業を展開するすべての主要自動車メーカーがテスラと契約を結び、スーパーチャージャーを利用できるようになった。アウディ、ゼネラルモーターズ(GM)、トヨタ自動車、ボルボなど、さまざまなブランドがテスラ独自規格「NACS」への切り替えに合意した。

「充電戦略」の見直しを考えるメーカーも

これはテスラにとって収益的に大きなプラスだと見られていたが、多くの競合他社の関係者は、東洋経済に対し、充電戦略を再考していると明かした。BMW、ゼネラルモーターズ、ホンダ、ヒュンダイ、起亜、メルセデス・ベンツ、ステランティスによって設立されたコンソーシアムである充電スタートアップ企業、イオナに参加する可能性があると語っている。

このことがテスラにとって何を意味するのかは、まだ明らかではない。同社は数年前に広報担当者を解雇し、時折公の場に姿を現すときと、四半期ごとの決算説明会を除いては、マスクは自身のソーシャルメディア・サイト、X(旧Twitter)を通じた不可解なメッセージを選ぶ傾向にある。

この気まぐれな経営者を知っている人やフォローしている人の間では、マスクは、ある業界幹部曰く"暴言"を吐くことで知られている。その幹部によれば、彼は「ある日誰かを解雇し、翌日にはその人物にまだ仕事があると伝える」ことで知られているという。