近畿日本鉄道は大阪・京都・奈良・三重・愛知の2府3県にまたがり、総営業キロ501.1㎞と大手私鉄で日本一長い路線網を持つ。その路線には、大きく分けて2つの軌間(レール幅)が存在する。

近鉄特急のフラッグシップ「ひのとり」や「アーバンライナー」、2階建ての「ビスタカー」が往来する名古屋―大阪難波間、京都・伊勢志摩方面は一般的に「標準軌」と呼ばれる1435mmの軌間。もう1つは1067mmの「狭軌」で、大阪阿部野橋を発着する南大阪線、同線と直通運転する列車が走る長野線や吉野線などで採用されている。

標準軌と狭軌の路線が出会う駅

この2つの異なる軌間の路線が出会うのが、奈良県橿原(かしはら)市の橿原神宮前駅。同駅には標準軌の橿原線と、狭軌の南大阪線・吉野線の3線が「Y」の字のように乗り入れる。

【写真】1940年の完成直後の橿原神宮前駅。80年以上経った現在も駅舎の姿はほぼ変わらない(60枚)。