ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)傘下のデジタルバンク「みんなの銀行」の帰趨に注目が集まっている。2024年3月期決算は93億円の赤字を計上し、5月末の投資家向け説明会ではFFGの五島久社長が撤退の可能性に言及したためだ。撤退観測の真相や、収益化の道筋について、みんなの銀行の永吉健一頭取を直撃した。

審査モデルがフィットせず

――「事業撤退」という観測が流れました。

みんなの銀行のような新規事業は、ローンチ前からプランBやCを想定している。今回、いきなり撤退の話が出たわけではない。当初は開業から3年で単年度黒字化を掲げていたが、昨年に黒字化の時期を2027年度へ変更した。そこを目指していろいろなことをやっている。

投資家向け説明会での(FFGの五島久社長の)発言は、あくまで一般論だ。みんなの銀行の2024年3月期連結決算は93億円の最終赤字で、今期も同水準の赤字を見込む。万が一、このまま決算が横ばいでカードローン残高が増えず、お客さんも増えない状態でも続けるのか、という問いに対して、撤退という考えは常に持っているという一般論を答えたまでだ。

――とはいえ、当初の業績計画からは乖離しています。

開業からしばらくはカードローンがPL(損益計算書)の柱になり、ゆくゆくは決済やBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)の手数料が大きくなる予定だった。だが、始めてみるとカードローン残高が積み上がらない。みんなの銀行の顧客属性は30代以下が7割に対して、既存の銀行は40代が7割。ほかの銀行が用いている審査モデルが、みんなの銀行にはフィットしなかった。

貸出金額も1件当たり40万円を計画していたが、(信用枠の小さい若年層が多いため)実際は25万円程度。ここで残高のギャップが2倍弱出ている。モデルが合っていないからデフォルトも増えた。こうしたことは、カードローンを実行してみて初めてわかった。

カードローンの実績がたまってきた段階で、社内のデータサイエンティストチームが独自の審査モデルを構築した。精度が良いので、今年度からは自前のモデルに切り替えた。1件当たりの貸出金額は、足元では30万円ほどに増えている。デフォルト率も下がってくるだろう。