吉田沙保里の引退会見に見た超自然体の凄み 名言はなくてもその受け答えが深く刺さった

吉田沙保里の引退会見に見た超自然体の凄み 名言はなくてもその受け答えが深く刺さった

1月10日14時、レスリング女子の吉田沙保里さんが都内のホテルで引退会見を行いました。

世界大会16連覇や国民栄誉賞の偉業にふさわしく、会場には多くの報道陣が集結。熱気あふれるムードの中、吉田さんは白のジャケットと黒のインナー姿で登場し、約40分にわたって引退の経緯と感謝の気持ちをたっぷりと語りました。

あまたのスーパーアスリートがいる中、なぜ吉田さんは別次元の存在感を放っていたのか? 今回の会見には、レスリングの強さではなく、精神面での強みがあふれていました。

なぜ勝ち続けられたのか? どのように区切りをつけたのか? ビジネスパーソンにとっても学びにあふれたコメントの数々を深掘りしていきます。

涙はなく、拍子抜けするほどの落ち着き

会見冒頭、吉田さんは、「皆さん、こんにちは、吉田沙保里です。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます」と丁寧にあいさつ。続けて、「『自国で開催される東京オリンピックに出場したい』という思いと、リオオリンピックで銀メダルに終わり、たくさんの方に『また金メダルを目指して頑張ってほしい』という応援をいただき、日々迷いながらここまできました」と胸中を語り始めました。

さらに、「また、若い選手たちが世界で活躍する姿を見るようになり、『女子レスリングを引っ張っていってもらいたい』という思いにもなりました。そして、あらためて自分自身と向き合ったとき、『レスリングはもうすべてやり尽くしてきた』という思いが強く、引退することを決断いたしました」とコメント。その口調には一切の迷いがなく、表情はすがすがしく、拍子抜けするほどの落ち着きを感じました。

筆者はこれまで吉田さんに6度インタビューする機会があったのですが、彼女の振る舞いはいつも自然体。この日の会見でも、大半の質問にサッと答えていたように、発言する前に「これを言ってもいいのかな……」などと逡巡することはほとんどありません。

冒頭の迷いのない言葉も、涙がなかったことも、吉田さんが現在感じている「これ以上でも、これ以下でもない」素直な気持ちの表れなのでしょう。だから、その言葉には記者たちが見出しにしたがるようなキャッチーなフレーズはありませんでした。しかし、自然体だからこそ、本質的で深いものが多かったのです。


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