『新聞記者』『ヤクザと家族』など数々の問題作を手がけてきた映画製作・配給会社のスターサンズが、菅義偉首相の素顔に迫り、そこから浮かび上がる現在の日本のおかしな現状をシニカルに描き出したドキュメンタリー映画をプロデュースした。

その名も『パンケーキを毒見する』。内山雄人監督作品で、7月30日より全国公開されている。

官僚の原稿をただ読み上げるだけで、要領を得ない答弁など、いまいち実態がつかめない菅義偉という人物について、現役の政治家や元官僚、ジャーナリスト、そして各界の専門家が語り尽くすほか、これまで表に出てこなかったような証言や、過去の答弁を徹底検証。さらに風刺アニメなども織り込み、菅義偉という現役の総理大臣の素顔に迫っている。今回、本作の企画・製作・エグゼクティブ・プロデューサーを務めた河村光庸プロデューサーに本作に込めた狙いについて話を聞いた。

映画は本来は自由であるべきだ

――『新聞記者』の公開時は宣伝に苦労したと聞いていますが、今回の『パンケーキを毒味する』の宣伝はいかがですか。

『新聞記者』の時もそうでしたが、テレビは一切扱わないですね。それは『パンケーキ〜』も一緒です。かろうじてラジオや新聞が扱ってくれます。

映画は、本来は自由であるべきだと考えています。なぜならば、テレビというのはスポンサー(広告主)の影響を受けるわけですが、映画は観客がお金を払って観るからです。だから本来はそういう影響を受けてならないのですが、映画界でもやはり忖度があるというか、長い間、政治的なものは避ける、というところはあったと思うんです。でもこういう映画を待ち望んでいるお客さまもいるはずなんです。

――まさに『新聞記者』が公開された時もそうでしたね。

『新聞記者』の初日に待ち望んだ人たちがドッと(メイン館となる)新宿ピカデリーに来てくださいました。年齢層も高かったですが待ち望んでいた人が多かった。しかも、映画館では拍手はしないと思うんですが、拍手をしてくださった。なんだか演劇を見たような感じでした。

今回の『パンケーキを毒見する』では、日本大学芸術学部の学生を対象とした試写会をやったんです。さらにユーロライブという会場でも、政治に関心がある若い人たちを集めた試写会をやった。これらの試写会がものすごく受けたんです。反響が熱狂的だったというか、アンケートをとったら、ほとんどの子が政治にまったく興味がないと答えていたのに、この映画を見た後は投票しますと言ってくれて。これは驚きました。やはり若い人にとって指針がないというのは問題なんですね。