現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

今回紹介するのは「働き方改革、コロナの影響で残業がなくなり18万円で僕と娘2人で生活しています」と編集部にメールをくれた、47歳の男性だ。

手取り月35万円が「18万円」に激減

大手企業の役員車の運転手をしているマサヤさん(仮名、47歳)の収入は、かつては手取りで月35万円ほどあった。しかし、現在はわずか18万円。理由の1つは、コロナ禍の影響で役員たちの利用が減ったこと。そして最大の原因は政府による働き方改革のせいだと、マサヤさんは訴える。

「私たちのような運転手の収入はかなりの部分を残業代が占めます。基本給はたったの17万円ですから。それなのに政府は、やれ労働時間の短縮を、やれ人間らしい働き方をなどといって、残業時間を減らしてしまった。働き方改革というなら、残業代に依存する給与体系も併せて変えてくれないと、本当の改革とはいえないのではないでしょうか」

マサヤさんたち運転手は夜間の会食や、週末のゴルフなどに出かける役員たちを乗せてハンドルを握ることが多い。こうした時間外労働に対する手当てや残業代込みでなんとか生活できるだけの給与を得ていたのだという。

従来は月120時間ほどの残業は当たり前。ところが、2019年4月に働き方改革関連法が施行され、労働時間に上限が設けられたことから、月の残業時間は最大でも60時間に収まるよう会社の規定が変更されてしまったのだという。その後、新型コロナウイルスの感染拡大により残業時間はほぼゼロになってしまった。