「格差社会や気候変動の根本原因は資本主義にある」と指摘し、晩年マルクスの思想を援用し「脱資本主義」「脱成長」を説く斎藤幸平氏(34)。マルクス研究における最高峰の賞「ドイッチャー記念賞」を日本人初、史上最年少で受賞した気鋭の経済思想家は、同世代や近い世代の若者の貧困をどう見ているのか。

貧困に陥った若者たちの実態に4日連続で迫る特集「見過ごされる若者の貧困」4日目の第2回は、その解決策を斎藤氏に聞いた(1〜3日目の記事はこちらからご覧ください)。

【4日目のそのほかの記事
第1回:竹中平蔵「私が弱者切り捨て論者というのは誤解」
第3回:コロナで生活苦しい人に「使ってほしい制度」8つ

コロナ禍で格差拡大の構図がはっきりした

――コロナ禍で、厳しい状況に置かれる若者が増えています。

確かに、コロナ禍によって経済格差の拡大に拍車がかかり、そのシワ寄せは若い世代に行っています。ただ、日本での経済格差の拡大はバブル崩壊以降、ずっと起こっていることです。

終身雇用・年功序列型賃金を前提とした日本型雇用システムが収縮して、非正規雇用が増加し、雇用が不安定化。正社員になれても、労働者を使い捨てる、いわゆるブラック企業も増え、労働状況は極めて悪化していきました。

貯蓄ゼロ世帯(2人以上世帯)は1987年に3.3%だったのが、2017年には31.2%にまで増え、ここ30年間の上昇傾向は明らかです。とりわけ深刻なのが20代、30代の単身世帯で、貯蓄ゼロ世帯が激増し、多くの人が、基本的な生活を維持していくことすら困難な状況に陥っています。

――すでにあった格差がさらに広がっているということですか。

富裕層を見れば、アベノミクス下での日本では年間所得が1億円以上の世帯が1万以上増えました。世界的にも(アマゾン創業者の)ジェフ・ベソスや(テスラCEOの)イーロン・マスクら大富豪トップ8人は、この5年間でそれぞれ資産を2倍以上に増やしています。

株価も日米ともにコロナ禍でGDPが大幅に下がったにもかかわらず、歴史的な高値を記録しました。富める者たちは安全なテレワークで働きながら、株高を利用して資産を運用し、さらに富を増やしているわけです。

一方、経済が落ち込み、非正規雇用を中心に多くの人が失業しました。仕事があったとしても、テレワークができない介護・保育・医療などに従事するエッセンシャルワーカーたちは健康を危険にさらしながら、低賃金、過重労働を強いられています。

困っている側がますます困窮する一方、持てる側はさらに富を増やしていく。その格差拡大の構図がはっきりしたのがこのコロナ禍だと思います。