ここまで面倒臭いことになるとは思わなかった。

最近、婚姻届を出した。40年近く事実婚を続けてきた夫が相手。戸籍上、夫の姓に氏が変わっただけなのに、さまざまな手続きに追われている。仕事で旧姓を使う人が増え、政府が旧姓の通称使用拡大策を進めたおかげで、ずいぶんと負担は減ったはず。それでもやるべきことは際限ない。選択的夫婦別姓制度導入の是非が関心を集め続ける理由は、「今の制度では現実に対応できない」ことにある。

旧姓併記の実情――住民票、運転免許証etc

旧姓を使って仕事や社会活動をしている女性が増え、選択的夫婦別姓制度を求める声が高まったことを背景に、政府は「さまざまな活動の場面で旧姓を使用しやすくなるように制度などを整える」として、閣議決定を重ねた。(表A)

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2019年11月には住民基本台帳法施行令の改正が施行され、住民票やマイナンバーカードに旧姓を併記できるようになった。それに連動して、身分証明に使われる運転免許証、健康保険証、パスポートなどへの旧姓併記も可能になった。

ただ関係機関のホームページを読んでも何がどう変わるのか説明不足の点もあり、実際に手続きをしてみて驚いたことがあった。

例えば、すでにマイナンバーカードや運転免許証を持っていると、左上の氏名欄は旧姓のまま。マイナンバーカードの場合、下の欄に改姓後の名前に並んで【】の中に入った旧姓が記された。番号は変わらない。運転免許証の場合は、裏の備考欄に新氏名と旧姓を使用した氏名が書き込まれた。これまで通り使っている旧姓がメインで、戸籍上の名前はサブというイメージで、まさに「旧姓の通称使用拡大策、万歳!」と思えた。

とはいえ、マイナンバーカード、運転免許証とも、有効期限が切れてカードが更新される時には左上の氏名欄に改姓後の氏名が【】の中の旧姓とともに表示される。

パスポートの場合も、「へえ〜」と思った点があった。パスポートには「所持人自署」としてサインを書く欄があるが、ここは旧姓のままでもOKなのだ。外国で、パスポート上のサインとクレジットカードのサインを比べられることがあるので、配慮してくれたのだろうか。

旧姓併記手続きを終えたマイナンバーカード、運転免許証ともに、左上の氏名は旧姓のままになった(画像:ごん屋作成)