日本は、「自分の車に自費でガソリンを入れ、自ら運転する高速道路の料金が、乗れば目的地まで運んでくれる鉄道の料金より高い」という、世界的にも異常な状態にある。トヨタの元副社長で名古屋商工会議所副会頭なども務めた栗岡完爾氏、岐阜県庁で企画・経済振興などの分野で活躍した近藤宙時氏は、「モノの流れや人の流れを妨げている現在の高速道路のあり方こそ、経済の沈滞を生み、地域間の格差を広げてきた元凶」と話す。

アフターコロナも見据え、データに基づいた提言をもって「地方を切り捨てる産業・国土交通政策」の欺瞞に迫った両氏の共著書『地域格差の正体 高速道路の定額化で日本の「動脈」に血を通わす』から、一部を抜粋・再構成してお届けする。

前回の記事(経済の立て直しの肝「観光」を見誤った日本の失策)でも述べたように、国民の1年間の国内旅行消費額が、ドイツは39.6兆円、イギリスは28.8兆円なのに対して、日本は20.5兆円にとどまっている。

この原因はどこにあるのか? 筆者らはその最大の原因が、遠くに行けば行くほど高くなる「距離制の高速道路料金」にあり、「定額制料金」に変えることによってこれを解決・解消すべきと考えている。

国内旅行の約5割が自家用車による旅行

JTBの発表によると、国内旅行の48.9%は自家用車による旅行であり、バスを利用しての旅行が30.8%、鉄道は29.7%、航空機が7.8%だ(旅行目的地に着いてからの2次交通も含まれるので、合計は100%を超える)。

つまり、旅行者の79.7%が道路を利用して旅行しており、道路の利用環境は、国内旅行にとって最も大きな要素だといえる。その道路のなかでも、国内旅行を考える際に最も重要なのは「高速道路」であることは誰でもすぐ想像できるだろう。

下の図表は、日本・ドイツ・イギリスの道路関連のデータをまとめたものである。高速道路の充実ぶりに関していえば、アウトバーンの伝統を持つドイツが傑出しているが、特にイギリスと日本の間には、前述の大きな差を説明できるような違いは見いだせない。

日本とドイツ、イギリスとで大きく異なるのは、「高速道路の料金制度」だ。