自分の失敗を許容できない人や、真面目な人に多いという“あがり症”。特に会社など長い関係が続く人の前だと、「ミスをするとその後の評価につながるかもしれない」「弱点を見られたくない」と思って緊張し、自分の意見を言ったり、自己発信をするのにも躊躇してしまう傾向がある。

不安感から、大勢の人の前で話すのを避けたくなるが、精神科医は「緊張する場面を避けるのは、一時しのぎにすぎない」と話す。どうやったらあがらずに人前で話せるようになれるのか、あがり症克服協会代表理事の鳥谷朝代さんに対策を聞いた。

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「人前で緊張したときは、目の前にいる人を『カボチャ』と思え」「手に人の字を3回書いて飲み込むと、緊張しなくなる」――。

これらは日本に昔からある、あがり症を克服するための“おまじない”だ。やってみたことがある人も多いのではないだろうか。

だが、実際に試したところで、いざ人前に立つと声の震えが止まらない人もいる。

あがり症の人のための克服講座を全国で開催する、あがり症克服協会代表理事の鳥谷朝代さんは「(おまじないをすることで)その瞬間は意識を遠ざけられますが、科学的根拠があるわけではありません。どんなに自己暗示をかけても、ちょっとしたことでさめやすく、暗示がとけるとよりどころをなくして、さらにパニックになってしまいます」と話す。

呼吸筋を鍛えるトレーニングが大事

声の震えは呼吸筋が関係している。肺そのものは膨らんだり、縮んだりすることはできない。肺を取り囲むさまざまな筋肉の働きによって、空気が肺を出入りしている。この肺を取り囲む筋肉の総称を呼吸筋という。

人間が生きるうえで必要なさまざまな活動をつかさどっているのが、自律神経系だ。体が活動しているときに活発になる「交感神経」と、リラックスしているときに活発になる「副交感神経」がある。

緊張する場面では交感神経が優位になる。すると首や肩回りの筋肉が緊張して、呼吸筋がこわばりやすくなり、声を出すときに上ずってしまう傾向にある。