これまでの奨学金に関する報道は、極端に悲劇的な事例が取り上げられがちだった。

たしかに返済を苦にして破産に至る人もいるが、お金という意味で言えば、「授業料の値上がり」「親側におしよせる、可処分所得の減少」「上がらない給料」など、ほかにもさまざまな要素が絡まっており、制度の是非を単体で論ずるのはなかなか難しい。また、「借りない」ことがつねに最適解とは言えず、奨学金によって人生を好転させた人も少なからず存在している。

そこで、本連載では「奨学金を借りたことで、価値観や生き方に起きた変化」という観点で、幅広い当事者に取材。さまざまなライフストーリーを通じ、高校生たちが今後の人生の参考にできるような、リアルな事例を積み重ねていく。

大学で学びカルト宗教から抜け出した宗教2世

日本学生支援機構(JASSO)が公表している「令和2年度 学生生活調査」によると、奨学金を受給(貸与・給付)している学生の割合は、「大学(昼間部)が49.6%、短大が56.9%」と、今では2人に1人になるという。

これまで見てきたように、奨学金を借りるに至るまでには「貧しかったから」「きょうだいが多かったから」など、人によってさまざまな理由がある。

そんな中「カルトにハマった親から抜け出すため」と、語るのは関西出身の岡田美恵子さん(仮名・44歳)だ。

「私はいわゆる宗教2世です。物心もつかない頃から、保育園にも幼稚園にも行かず、親に連れられて布教活動をさせられていました」