コロナ禍で病院での面会が制限されていることなどを背景に、需要の高まりを見せている在宅ケア。家での療養生活を支えるのが、患者宅を訪問して診療を行う在宅医などだ。

これまで1000人を超える患者を在宅で看取り、「最期まで自宅で過ごしたい」という患者の希望を叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)が、若い人たちにも知ってもらいたい“在宅ケアのいま”を伝える本シリーズ。

8回目のテーマは、離れた場所に住む家族が、在宅ケアや施設選びにどのように関わり、支えるかについて。遠距離であっても、適切なケアを進めるための関わり方のコツをひもとく。

年を重ねた親が遠方に住んでいる場合、子どもが親の日常生活の様子をなかなか把握しづらかったり、いざというときにすぐに駆けつけられなかったりといったジレンマを抱えることがあります。とくに現役世代で働いていると、在宅ケアや介護にどうやって関われば良いのか悩まれる方も少なくありません。

顔の見える関係が大事

私は在宅ケアにおいて、できる限り「顔の見える関係」を大切にしています。そのため在宅医として関わる際、家族には最初の訪問診療時にはできるだけ同席してもらい、顔を合わせてお話ができるようお願いしています。対面が難しいときは、電話やオンラインで話す機会を持つなどし、訪問診療をスタートする際に、必ず家族と対話するように心がけています。

なぜなら家族と対話するなかで得られる情報が、今後の治療の方針や進め方を考えるうえで役立つことが多いからです。

在宅ケアでは、「何を大切にして過ごしたいか」という本人や家族の希望に沿って治療方針を決めていきます。そのため、家族にも不安に感じていることや大切にしたいものを聞いて、個々の価値観に触れる機会は、在宅ケアを考えるうえで重要です。最初に家族の思いや考えを聞いておくと、その後に大きな意識のズレが生じることなく、ケアが比較的スムーズに進みやすい印象があります。