精神科を受診する患者数が年々増え続けるなか、家族のメンタル不調をケアする立場に置かれる人も多いのではないでしょうか。

産業医として1万人以上を診察してきた精神科医の井上智介氏の著書『どうする? 家族のメンタル不調』より、家族に「うつになった」と告げられたとき、最初に確認しておきたいポイントを解説します。

「うつ病」は病名、「うつ状態」は状態

調子が悪くて病院へ行った人に、ご家族が「どうだった?」と尋ねたとき、

「お医者さんから『うつ』って言われた」

と報告される……。

これはとてもよくあるパターンなのですが、実は誤解や勘違いを生みやすい会話でもあります。患者さんが発した「『うつ』って言われた」の一言から得られる情報は、患者さんの状況を正しく把握するにはひどく薄っぺらいものです。

まずは、次のように確認するといいでしょう。

「それは『うつ病』になっているということ? それとも『うつ状態』になっているということ?」

「うつ病」なのか「うつ状態」なのかは、さほど違いがないように思われるかもしれませんが、実はとても大きな差があります。ただ、患者さん自身も両者の違いを意識していないことが多いため、

「『うつ』って言われた」

という返事になってしまうのです。

一体どんな違いがあるのかというと、「うつ病」とは病名です。うつ病という「病気」にかかっていることを指します。