減塩味噌で作った味噌汁を飲むと、「これは塩が薄いな」と舌は感知します。

しかし減塩味噌汁は、味噌に力がないから物足りません。

Aさんのように「飲んだ気がしない」という感想が出るのも当然といえば当然です。その分、量を多く飲んでしまったり、他の塩分の濃いものをとってしまったら、意味がないわけです。

大事なのは「絶対塩度」と私が口を酸っぱくして言うのがおわかりいただけたでしょうか。

そうであれば、しっかり塩を打った「おいしい」味噌汁のほうが、味もしっかりして、結果的に少ない量で満足できることも多いのです。

「本物の味噌」「一杯の味噌汁」のおいしさ

「減塩味噌」は確かに「減塩」という目的は果たすことができるでしょう。しかし「味噌汁本来のおいしさ」を失ったばかりか、結果的に全体の塩分量が増えたのでは「本末転倒」としかいいいようがありません。

朝、起きて台所に味噌汁の香りが満ちている幸福感、味噌汁を飲むときのおいしさは、日本人なら誰もが共感していただけるのではないでしょうか。温泉旅館で朝飲む一杯の味噌汁も、また格別なものです。

私が15年かけて開発した『安部ごはん』でも、「『豚肉✕甘みそ』の黄金コンビ!うますぎるコク肉なす」など、味噌を使った料理をたくさん紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

安部氏が開発した「魔法の調味料」さえあれば、簡単に作れる「『豚肉✕甘みそ』の黄金コンビ!うますぎるコク肉なす」(『安部ごはん』より/撮影:佳川奈央)

「長期熟成の味噌」はやや値段が張りますが、やはり格別のおいしさがあるものです。

減塩もいいけれど、「本物の味噌を使った料理のおいしさ」「一杯の味噌汁のおいしさ」をぜひ忘れないでいただきたいそれが私の思いです。

次回、味噌シリーズの5回目、最終回では「『味噌汁が臭い!』といって飲めない子どもたち」について紹介します。

*味噌シリーズの1回目:味噌の「米・豆・赤・白」の違い、正確に言えますか?

*味噌シリーズの2回目:平気で「安い味噌」買う人が知らない超残念な真実

*味噌シリーズの3回目:平気で「だし入り味噌」使う人の超深刻すぎる盲点

著者:安部 司