「近所のレストランに行ったら、席は空いているのに着席できず長時間待たされた」「ホテルの宴会需要はあるが、人がいなくて受注できない」「介護施設の入居依頼があるものの、入居者がいないフロアがあるほど人が足りない」

こういった言葉がよく聞かれるようになりました。レストランや介護施設では、配膳ロボットなど自動化を駆使したところもありますが、業務すべてを任せるまでには至っておらず、やはり人手に頼らざるをえない現実があります。

そして、人を募集しても集まらない。結果、利用者に不便をもたらし、企業には売り上げ減につながるという状況が相次いで発生しています。

2030年には63万人の外国人労働者が不足

総務省統計局の発表によれば、2023年10月1日現在の総人口は1億2435万2000人で、前年に比べ59万5000人減で、13年連続で減少しています。

出生数から亡くなった人の数を引いた「自然増減」では83万7000人減、17年連続減少していますが、一方で「転入・転出」による人口の増減、すなわち「社会増減」では、24万2000人増で、2年連続の増加となっています。増加要因をみると、日本人は2000人の増加ですが、外国人は24万人増となっています。

2022年3月31日、独立行政法人国際協力機構(JICA)の研究機関である「緒方貞子平和開発研究所」は、「2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた取り組み調査・研究報告書」を発表しました。

この報告書は、日本がさらなる経済成長を達成するため、2030年と2040年時点での外国人労働者を送り出す国の人口動態と産業構造の変化・労働市場を予測。そのうえで、将来の外国人受け入れに関するものです。

この報告書によれば、2030年時点で必要な外国人は419万人ですが、実際に外国人の労働供給の潜在力からすれば63万人が不足すると見通しています。

なぜ不足するのか。その要因としては、労働者を送り出すアジア各国が経済成長していくことで日本との賃金格差が縮小することや少子化が列挙されています。一方で、日本国内では「日本人だけでも成長を達成することができるのではないか」といった声も多いと感じています。