コロナ禍でJR西日本がローカル線の維持について見直すとしているなか、観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」の運転終了が発表されるなど、中国山地を行く木次線の将来が不明瞭です。JR発足時には急行列車もあったのですが……。

一部区間は「運休でタクシー代行」の日々が珍しくない路線

 JR西日本が2021年6月、中国山地を行く木次線の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」について、車両老朽化などを理由に2023年度で運行を終了すると発表しました。

 木次線は、山陰本線と接続する島根県松江市の宍道駅から中国山地へ分け入り、広島県庄原市の備後落合駅へ向かう81.9kmの路線。平均通過人員が190人/日(2019年度)と、JR西日本の各線区でも特に低い路線のひとつです。

 出雲横田〜備後落合間は1日3往復しか運転されないほか、毎年のように積雪によって長期運休、タクシー代行輸送になっています。

 コロナ禍で、ローカル線の維持について見直す動きがあるJR西日本。木次線は「奥出雲おろち号」の運行終了で輸送人員のさらなる減少が考えられますが、仮にそれがなくとも、部分的な形を含め廃線が検討されても不思議ではない路線状況でしょう。

 今回の発表は、2023年度までは廃線にしないとも受け取れますが、はたしてどうなるでしょうか。

かつて木次線を駆け抜けた急行「ちどり」 約半世紀前は1日4往復も

 さてそんな木次線ですが、1987(昭和62)年4月に国鉄が分割民営化された当時は、平均通過人員が2019年度の3.5倍である663人/日で、急行列車も運行されていました。米子・松江〜広島間を結ぶ急行「ちどり」です。列車名は、松江城の別名「千鳥城」に由来します。

 運行は1日1往復で、ダイヤは以下の通りです。

611D:米子 09:55→広島 15:50
612D:広島 08:28→米子 13:58(松江〜米子間は普通列車)

 走行距離は242.3kmで、所要時間は早い上りで5時間30分。表定速度(停車時間も含めた平均速度)は44km/h。途中の停車駅は、安来、松江、玉造温泉、宍道、加茂中、出雲大東、木次、下久野、出雲三成、出雲横田、出雲坂根、備後落合、備後西城、備後庄原、塩町、三次、甲立、吉田口(611Dのみ)、向原、下深川でした。

 現在、米子・松江〜広島間では高速バスが運行されており(コロナで運休も出ていますが)、おおよそ3時間から3時間半程度で両区間を連絡しています。

 急行「ちどり」は、JR発足から3年後の1990(平成2)年に運転区間が広島〜備後落合間に短縮され、木次線への乗り入れを終了。そして2002(平成14)年に急行「みよし」へ統合され、「ちどり」の名称が姿を消しました。

 ちなみに、1974(昭和49)年3月の時刻表を見ると、急行「ちどり」は昼行列車が2往復、夜行列車が1往復、ゴールデンウィークなどの多客期に昼行と夜行の臨時列車が1本ずつと、最大で4往復も走っています。