東京の地下駅には、ホームが行き先ごとに別々の階にある場合があります。間違えると大変ですが、そのような構造になったのには理由があります。

行き先ごとにホームが別々の階に

 地下鉄で寝過ごし、反対方向の列車に乗ろうとしてふと見ると、反対側ののりばが見当たらない……。実は反対方向のホームは別の階、そんな地下駅がいくつかあります。お目当ての電車に乗ろうとして、間違った階へ下りてしまうと、目も当てられません。首都圏にある「上下線2層構造」な地下駅を抜粋して紹介します。

●初台駅(京王新線)

 都営新宿線と一体的な地下線となっている京王新線の初台駅は、新宿方面が地下2階、笹塚方面が地下3階の2層構造になっています。

 このような構造になった主な理由として、高速道路の橋脚基礎の存在があります。京王新線は新線新宿〜幡ヶ谷間で国道20号および首都高新宿線の真下を走っていますが、初台付近の首都高の橋脚はT字型で道路敷の中央に基礎があるため、地下駅を設けるスペースが無かったのです(首都高新宿線の開通は1973年、初台駅の地下化は1983年)。

 同じく首都高の基礎が関係した地下駅が、東急田園都市線の駒沢大学駅です。こちらも首都高の基礎が道路の中央に設置されていますが、この駅は当初から、その基礎と駅構造を一体構造物として建設。駒沢大学駅がやけに幅広い島式ホームなのは、ちょうどホーム中央に、その基礎があるからです。

やむを得ず上下2層に別れた駅

●桜新町駅(東急田園都市線)、東新宿駅(東京メトロ副都心線)

 駒沢大学駅の西隣にある桜新町駅は、中央林間方面が地下2階、渋谷方面が地下3階の2層構造です。1本のホームと線路が壁に挟まれていて、構内はこじんまりとした印象です。

 この駅はのりばの奥に壁を隔ててもう1本、急行が追い抜くための通過線があります。合計4本の線路を持つこの駅は、地上道路の幅員にスペースを収めるため、方向別の2層構造となりました。

 同様の理由で2層構造となったのが、副都心線の東新宿駅です。こちらは渋谷方面が地下5階、和光市方面が地下6階。桜新町駅とは違い、通過線と待避線が島式ホームを挟む構造となっています。この駅の通過時に車窓に見える電車は、対向列車ではなく、通過待ちの同じ方向の列車なのです。

●根津駅、千駄木駅、西日暮里駅、町屋駅(東京メトロ千代田線)

 同様の誕生理由でできた2層構造の駅が、千代田線にもあります。こちらはなんと、4駅連続で2層構造となっている、全国でも極めて珍しい構造です。これは、道灌山通りや不忍通りといった地上道路が、東京下町の昔ながらの住宅地を通過することもあり、建設当時十分な道路幅員がなく、埋設物の影響もあったためです。

●住吉駅(東京メトロ半蔵門線)

 半蔵門線の住吉駅は、渋谷方面が地下3階、押上方面が地下4階の2層構造になっています。ところがホームの反対側を見るとそこは壁ではなく、のりばらしきものがあり、格子で封鎖された奥には確かに線路が。時間帯によっては、ここに電車が留まっていることがあります。

 実はこれ、住吉駅から南下し、有楽町線の豊洲駅までをむすぶ計画の地下鉄新線「豊住線」が発着するための「のりば予定地」です。半蔵門線と同一ホーム上で乗り換えができるような構造なのですが、その「豊住線」計画はまだ具体化していません。

苦心の末生まれた2層構造の駅

●六本木駅(都営地下鉄大江戸線)

 大門方面が地下5階、新宿方面が地下7階に位置しています。この新宿方面のホームは国内の地下鉄では最も深い、地下42.3mの深さにあります。

 大江戸線は既存の地下鉄や地下構造物を縫うように掘り進められ、さまざまな制約を乗り越えて開業しました。特に六本木駅付近では、地上には繁華街が、地下には埋設物が密集するという制約があり、地上から掘り進める工法が難しいため、シールド工法を採用。そのシールドも特殊な「大円2つ横並び+接続部の上下に小円」という構造の「4心円シールド」が使われました。

 メガネ状のトンネル断面の一方が線路、一方がホームに使われています。ビルの基礎や埋設ケーブルなどを避けるため、この「メガネ」が縦並びになる形で六本木駅部を掘進。苦心の末生まれた当駅は、大江戸線では練馬駅につぐ第6位の乗降客数となっています(5万3553人、2020年度)。

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 その他、大井町駅(東京臨海高速鉄道りんかい線)、関内駅(横浜市営地下鉄ブルーライン)をはじめ、他の地方でも三宮駅(神戸市営地下鉄西神・山手線)や関目成育駅(大阪メトロ今里筋線)などが、上下線でホーム階の違う2層構造となっています。