JR東日本が製造した車両のうち、営業運転に使用されながらも保存されることなく廃車となった車両があります。さまざまな特徴を持っていたため博物館入りしてもおかしくない車両でしたが、解体の道へとたどっています。

さまざまな特徴を持ちながらも解体

 JR東日本が国鉄から継承した車両やJR東日本が製造した車両で廃車となった車両のうち、EF58形電気機関車や485系特急形電車、E1系新幹線電車などは鉄道博物館に保存されていて、昨年(2021年)に運行を終了したE4系新幹線電車も先頭車1両が新津鉄道資料館に保存されています。

 しかし、JR東日本となってから登場したものの、保存されることなく廃車となった悲運な車両があります。ここでは営業運転に使われた特徴ある車両のなかから、3形式をピックアップします。

251系特急形電車

 251系特急形電車は、1990(平成2)年4月28日、東京〜伊豆急下田間などを結ぶ特急「スーパービュー踊り子」としてデビュー。伊豆急下田方の2両は2階建て構造のグリーン車で、先頭車の1階部分にはグリーン車利用客専用のラウンジや売店、2両目のグリーン車の1階部分には個室を設けたほか、東京方の先頭車(普通車)も2階建て構造として1階には「こども室」を設けたのが特徴です。

 これまでにないデザインとなった251系は、リゾートアクセス向けの車両としての評価を得たことから、1991(平成3)年に鉄道友の会選定の「ローレル賞」を受賞しています。

 1992年(平成4)年までに10両編成4本となった251系は特急「スーパービュー踊り子」だけでなく、1994(平成6)年から1999(平成11)年5月まで臨時特急「ビュー日光号」(藤沢→日光、日光→大船)や「ビュー草津号(上野〜万座・鹿沢口間)、「ビュー谷川号」(上野〜水上間)、「ビューくろいそ号」(藤沢→黒磯、黒磯→大船)、「デラックスビュー南房総号」(新宿〜千倉間)などにも使用され、JR東日本を代表する特急車両でもありました。

 2002(平成14)年にリニューアルを受けて、車体はホワイトとエメラルドグリーンに青い帯を巻いた塗装となり、一部のファンからは「さらに『イモムシ』っぽくなった」などと言われることも。

 2004(平成16)年からは「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」にも使用されるようになりましたが、2020年3月14日のダイヤ改正からE261系の特急「サフィール踊り子」の運転開始により251系は2020年3月13日限りで営業運転を終了。4本とも長野総合車両センターへと送られ、すべて現地で解体されました。

E351系特急形電車

 E351系特急形電車も悲運な車両と言えるでしょう。

 E351系は、中央本線の特急「あずさ」の高速化を目的に1993(平成5)年に量産先行車2本が登場。カーブを高速で通過できるよう、カーブ区間を検知して車体を内側に傾け、遠心力を低減する「制御付き自然振り子」という装置を、JR東日本で初めて搭載した車両です。さらにJR東日本で初めて車両形式に「E」を冠した車両でもあります。

 編成は基本8両と付属4両の12両編成で、基本編成と付属編成とのあいだは通り抜けを可能としたため、先頭車は貫通型と非貫通型の2種類の顔を持っていました。

 同年12月23日に特急「あずさ」として営業運転を開始。このときは従来の特急「あずさ」と同じ速度で走るため振り子装置は固定したままでしたが、1994年12月3日のダイヤ改正からは特急「スーパーあずさ」として運転。振り子装置の使用を開始するとともに1日4往復のうち2往復は最高速度130km/h運転を行い、新宿〜松本間を最短2時間30分(従来より12分短縮)で結びました。

 1995(平成7)年から1996(平成8)年にかけてE351系の量産車3本が登場。計5本の陣容となり、1996年3月のダイヤ改正で特急「スーパーあずさ」は最大8往復に。同ダイヤ改正から2008(平成20)年3月までは、「おはようライナー新宿」と「ホームライナー小田原」に、2008年3月から2018年3月までは中央線の「中央ライナー」にも使用していました。

 しかし、後継車両のE353系特急形電車が2017(平成29)年12月23日から営業運転を開始したことでE351系の特急「スーパーあずさ」は4往復に減少。翌2018年3月17日のダイヤ改正で特急「スーパーあずさ」はすべてE353系での運転となりE351系の定期運行が終了となり、同年4月7日に運転された松本発新宿行きの団体臨時列車をもって営業運転を終了しています。

 E351系は振り子車両ということで転用されることなく、251系と同様に長野総合車両センターへと輸送され、全車が現地で解体となっています。

215系近郊形電車

 オール2階建て(先頭車の1階部分は機器室)の車両である215系近郊形電車もそうでしょう。

 JR東日本では東海道本線の混雑を解消するため、113系電車のロングシート化や列車の増発を行ってきましたが、それでも混雑は解消しませんでした。そこで、東海道貨物線を活用して新たに朝夕の通勤ライナーを運行することとし、座席数を多く設けた車両として1992(平成4)年に215系(10両編成1本)が登場しました。

 215系の座席定員は1010人(普通車830人+グリーン車180人)で、2階建てグリーン車を組み込んだ211系0番台(セミクロスシート車)10両編成の706人(普通車526人+グリーン車180人)と比べ、普通車は約1.5倍も座席が多いのが特徴です。215系は当初、付属編成(5両)を連結した15両編成での運転も想定していましたが、付属編成の登場には至っていません。

 215系は1992年4月20日の「湘南ライナー4号」から営業運転を開始。平日の「湘南ライナー3号、4号」と平日日中の快速「アクティー」で使用されました。とくに快速「アクティー」では乗車券のみで普通車の2階建て車両に乗車できることから、その人気は高かったといいます。

 1993(平成5)年には10両編成3本を増備します。「湘南ライナー」と快速「アクティー」だけでなく平日の「湘南新宿ライナー」や休日の「ホリデー快速ビューやまなし」にも充当し、1998(平成10)年3月14日からは土休日運転の「ホリデー快速ビュー湘南」(新宿〜平塚間)、「ホリデー快速ビュー鎌倉」(新宿〜逗子間)にも使用するようになり、幅広い運用をこなします。

 しかし東海道本線では15両編成の列車が増え、10両編成の215系は座席数は多いものの片側2ドアということもあり、快速「アクティー」では乗り降りに時間がかかるため遅れが頻発するようになります。そこで215系は2001(平成13)年12月1日より、快速「アクティー」から湘南新宿ラインへと転身。「ホリデー快速ビュー湘南」「ホリデー快速ビュー鎌倉」の運転はなくなりましたが、日常的に新宿〜横須賀線・東海道線方面の列車に乗車できるようになりました。

 それも束の間、2004(平成16)年12月から湘南新宿ラインで使用する車両はすべてE231系となり、215系は「湘南ライナー」と、2002(平成14)年12月に「湘南新宿ライナー」から列車名を変更した「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」のみに。季節運行で「ホリデー快速ビューやまなし」は残りましたが、同列車は2020年11月で運行を終了。「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」も特急「湘南」化により2021年3月で運行を終了したのも記憶に新しいところです。

 役目を終えた215系は、10両編成2本が長野総合車両センター、もう2本が盛岡車両センター青森派出所へと輸送され、すべての車両の解体が完了間近です。

 JR東日本唯一のオール2階建て車という特徴を持ちながらも保存されることはないでしょう。