下り線のPAなのに上り線側にあり、しかもビルのような立体構造をしているという珍しい施設が、京葉道路の京葉市川PAです。上り線に隣接していて地上から入れそうなのに、入れません。どうしてこうなったのでしょうか。

京葉道路を高架でぐるり横断して出入りする「京葉市川PA」

 都心部に近い高速道路のPAは、立地の制約もあり様々な構造のものが見られますが、なかでも珍しい構造のエリアに京葉道路の京葉市川PAが挙げられます。「下り線のエリア」なのに上り線側にあり、しかもビルのような立体構造をしているため、出入りの仕方もちょっと特殊です。

 東京方面から京葉道路の下り線を進むと、外環道と交わる京葉JCTへの分岐、さらに京葉市川IC出口への分岐が連続します。その出口車線に入って分岐を2つ(それぞれ接続する県道の北行き、南行きへの出口)通過したのち、ようやくPAへの分岐が登場。そちらへ進むと高度を上げ、高架で本線を横断してPAの駐車場にたどり着きます。

 京葉市川PAの駐車場は3階にあたり、ここを退出するときも、再び高架で本線を横断して下り線へおりていきます。このように下り線エリアが上り線側にあるというのは、中央道の談合坂SAなどいくつか存在しますが、ここは現状、「下り線エリア」だけで「上り線エリア」は存在しないのです。

 さて、3階のPA駐車場から建屋に入ります。3階はコンビニ(デイリーヤマザキ)、2階には食堂(松屋)とトイレがあり、広々とした空間です。しかし、1階には下りられません。

 この施設は上り線に隣接しているため、地上の上り本線からすぐに入れそうな雰囲気なのですが、NEXCO東日本関東支社によると「1階は千葉県警高速隊の分駐所と従業員駐車場になっています」とのこと。つまり、この施設はこれで一応“完成形”なのだそうです。

 なぜこのような施設が誕生したのでしょうか。

「上り線エリア」できるの?

 京葉市川PAは外環道(千葉区間)が開通した2018年にオープンした比較的新しいPAですが、ここにはかつて「鬼高PA」がありました。本線に隣接した地上のPAであり、当時は上り線・下り線エリアとも存在しました。

 しかし鬼高PAは2012年に閉鎖。理由は京葉JCTのランプ用地になるためでした。現在、地下の京葉JCTから京葉道路下り線へと出るトンネルの出口部分と、下り線〜京葉市川PAを結んでいるランプが接続している箇所がまさに、かつて鬼高PAの下り線エリアがあったところです。

 つまり、京葉市川PA下り線エリアを、かつての鬼高PA上り線用地に整備し、それに必要なランプをJCTのランプと合わせて、かつての鬼高PA下り線の用地を使って整備したわけです。

 ただ、「京葉市川PAは当初から、上り線も整備する計画があります」(NEXCO東日本関東支社)とのこと。とはいえ、その上り線エリアは全く別のところに設けることになるといいます。

 その場所は、船橋IC〜原木IC間の市川市二俣地区だそうで、下り線エリアから少なくとも2kmほど東へ離れます。完成時期は未定で、2023年3月現在は土木工事の発注をかける段階だそうです。

 下り線エリアは京葉市川IC〜原木IC間にあたるため、路線図で模式的にPAの位置を示す場合も、新たな上り線エリアと区間がズレることになります。この点でもやはり、珍しいPAになりそうです。