地下鉄は一般的に大都市で整備され、人口とともに利用者も多いので頻発運転が行われます。しかし中には、地下鉄のイメージとは離れた意外な「閑散路線」もあります。

地下鉄だけど本数少ない場合も

 地下鉄は一般的に大都市で整備され、人口とともに利用者も多いので頻発運転が行われます。しかし中には、地下鉄のイメージと裏腹に本数が少ない、やや閑散とした路線もあります。

●名古屋市営地下鉄上飯田線:15分間隔(1時間あたり4本)
 上飯田線は総延長わずか1駅間800mの「日本一短い地下鉄路線」です。上飯田駅に発着していた名鉄小牧線の都心アクセスを向上させるため、名城線の平安通駅までをつなぐ連絡線として建設され、ほぼ全列車が小牧線と上飯田線を直通しています。

 その名鉄小牧線、沿線の旅客需要がそこまで膨大ではないことから、いまだに単線のままです。したがって列車の運行本数も増やせず、ラッシュ時でも1時間あたり6〜8本にとどまり、日中はわずか1時間あたり4本。このため直通先の上飯田線も15分に1本という閑散ぶりです。

●神戸市営地下鉄海岸線:10分間隔(1時間あたり6本)
 2001(平成13)年、神戸市の2本目の地下鉄として開業。三宮・花時計前駅から臨海部を経由して新長田駅までをむすぶ延長7.9kmの路線です。工業地帯の和田岬周辺や、ヴィッセル神戸の本拠地・ノエビアスタジアムなどを中心街へつなげる役目を果たします。

 とはいえ、起点の三宮・花時計前駅は、JR・阪急・阪神の三宮各駅まで長い徒歩連絡が必要なのと、沿線の観光地である中華街やハーバーランドはそもそも既存路線が至近距離にあるなど、海岸線が独占する沿線人口がそもそも小さいことなどから、利用客は低迷。ホームは6両分用意してありますが、いまだに4両編成のまま、最低限の本数で運行が続けられています。

●仙台市地下鉄南北線・東西線:10分間隔(1時間あたり6本)
 2023年7月にダイヤ改正が行われ、1日あたり約20本の減便となります。両路線とも、平日は10〜14時台に、土休日は10時半から深夜まで、7分半間隔から10分間隔となる予定です。

 仙台市交通局は減便の理由について「お客さまの利便性の確保に配慮しつつ利用状況に対応するため」としています。

首都圏にも「なかなか来ない地下鉄」アリ

 一極集中が叫ばれて久しい首都圏の地下鉄にも閑散区間があります。

●東京メトロ千代田線(綾瀬〜北綾瀬):10分間隔(1時間あたり6本)
 千代田線の支線として分岐する約2.1kmの区間が、日中は本数が少なくなっています。もともと北綾瀬駅に隣接する車両基地までの引き込み線を旅客化したもので、千代田線の電車の多くは北綾瀬へ行かずにJR常磐線へ直通して郊外アクセスを担っています。

 長らく支線を3両の電車がトコトコと折り返すだけでしたが、2019年にリニューアルが行われ、10両編成に対応し、千代田線本線そして小田急への直通列車が走るようになりました。夕方には「急行・伊勢原行き」も運転されています。

●横浜市営地下鉄グリーンライン:10分間隔(1時間あたり6本)
 2008年(平成20)年に日吉〜中山の13.1kmが開業。横浜市の2本目の地下鉄として、リニアモーター式のミニ地下鉄の形式で建設されました。

 本来の計画は鶴見〜中山〜二俣川〜本牧〜元町・中華街と、横浜市をぐるりと環状に連結する役割を果たすものですが、まだ部分開業であることからポテンシャルを発揮しておらず、港北ニュータウン周辺の需要を拾って東横線へ直結する程度の存在です。

 とはいえ、沿線人口はまだ増加傾向であり、混雑対策として4両編成から6両編成への増強策が図られています。昨年9月から6両の列車が走り始め、2024年末までに17編成中10編成が6両化完了する見込みです。


※一部修正しました(6月1日10時58分)。