旅客機の座席は、数字と「A、B、C〜」といったアルファベットが振られているケースが一般的です。しかし、これらの数字とアルファベットが順番通りではなく、“飛び飛び”になっているケースがあります。なぜなのでしょうか。

大小さまざまな旅客機を運用する会社の工夫

 旅客機の座席は、前後の列を示す数字と、左舷(乗り込む側)から「A、B、C〜」と横の並びを表すアルファベットが振られているケースが一般的です。しかし、これらの数字とアルファベットが順番通りではなく、“飛び飛び”になっているケースがあります。なぜなのでしょうか。

 たとえばANA(全日空)のボーイング737-800の座席表(普通席)では、左の窓際から「A、B、C、通路、H、J、K」となり、「D、E、F」と「I」がありません。これは実は大小さまざまな旅客機を運用する航空会社側の工夫のひとつです。

 まず「I」席がない理由についてANAは、「数字の「1(いち)」と見間違えやすいから」としています。

 加えて「窓側席は『A席』と『K席』、通路側席は『C席』『H席』と、それぞれアルファベットを割り当てています。通路が2本あるワイドボディ機の場合、『D席』『G席』も通路側になります」とも。

 なぜこのようなルールが設定されたのでしょうか。ANAの担当者は、次のように説明していました。

「2000年代中頃から社内で考え方を統一し、新しい機材はこの割り当てルールを使うことで、お客様やスタッフへの分かりやすさを高めるようにしました。横10列(ボーイング777やエアバスA380など)や7列(ボーイング767など)、6列(ボーイング737やエアバスA320など)といった機材があるなか、アルファベットと窓側、通路側の関係性が決まっているとCA(客室乗務員)や旅客係員にとっては作業性が上がるほか、案内がより正確になると考えています。お客様にとっても、トラブルの際、ANAスタッフの処理能力が上がることで、お待ちいただく時間の短縮に繋がると考えています」

 なお、数字の配列もこれと同じようで、2024年現在の国内線では、上位クラスである「プレミアムクラス」は前から「1〜5」の番号が振られ、普通席は6番以降の番号が振られています。

 ちなみに、このルールを採用していない航空会社も存在します。たとえばジェットスター・ジャパンなどのLCC(格安航空会社)は、アルファベットの順番通りの座席番号が振られている傾向が高いようです。これはLCCが、飛行機の種類を1種、もしくはそのシリーズの派生型に統一させることで、さまざまなコストを削減しているためと見られます。