スズキが「ジャパントラックショー2024」に出展。不動の人気を誇る軽トラックとは別に、ある「次世代モビリティ」も打ち出していました。もちろん仕事使いを想定した“新四輪車”、結構使えそうです。

荷物が運べるお一人様用軽トラ?

 最近、新たな車両区分である特定小型原動機付自転車、いわゆる「特定小型原付」が作られたことで、電動キックボードや小型の電動バイクなどといった1人乗りの新モビリティーも爆発的に利用者を増やしています。これらは運転免許が不要(16歳未満は運転不可)なため、若者を中心に人気を博している状況です。

 そのようななか、自動車メーカーのスズキが特定原付に区分されるまったく新しい電動モビリティー「SUZU-CARGO(スズカーゴ)」を提案しています。同車が5月9日からパシフィコ横浜で開催された「ジャパントラックショー2024」に参考出品されていたため、見てきました。

「SUZU-CARGO」は全長1900mm、全幅600mm、全高1000mm(ミラーを除く)の1人乗り電動4輪車です。車体前部にフレーム剥き出しのハンドルと座席があり、それより後方部分が丸々荷台としてデザインされているのが特徴です。荷台部分の広さは幅565mm、奥行き1050mm、高さ300mmもあり、容量は約175リットル、最大積載量は30kgとなっています。

 この車両、一見して電動キックボードのような手軽さがありつつも、4輪車のために転倒しづらいため安定性が高く、加えて広い荷室を活用した高い輸送能力も兼ね備えています。

シーンは趣味から仕事まで 電動特有のメリットも

 この「SUZU-CARGO」は、前出したような電動キックボードやモペットなどのブームに呼応して生まれた印象を受けますが、「ジャパントラックショー2024」の展示ブースにいたスタッフによると、そうではないとのことでした。

 スズキといえば、シニア世代に広く普及しているハンドル付き電動車いすの「セニアカー」が有名ですが、この「SUZU-CARGO」はその流れを汲んだ乗りものになります。

「SUZU-CARGO」の利用シーンとしては、荷台の輸送能力を生かした物流現場が想定されているそう。電動のため大型倉庫といった屋内での使用にも適しているといいます。

 セニアカーはもともと、ゆっくりした速度で歩道のみを走れる乗りものです。そこに、特定小型原付の区分ができたことで、最大20km/hで車道を走るモードと、最大6km/hで歩道を走るモードの双方を兼ね備えた車両を考えられるようになり、さらに人の足となるだけでなく、仕事で荷物を運ぶ用途を打ち出したというわけです。都市部などでのラストワンマイルの配達業務などにも活用できるでしょう。

 現時点では、「SUZU-CARGO」は試作車であり、イベントにも参考出品という形ですが、展示ブースのスタッフは商品化について、前向きに検討していると話していました。