宇都宮ライトレールHU300形です。

次世代のLRTを志向するための提言とは

 鉄道友の会は2024年5月23日(木)、今年度の「ローレル賞」を決定しました。同会は毎年1回、前年に営業運転を開始した新造および改造車両の中から、選考委員会が選んだ候補車両に対して会員の投票結果をもとに優秀車両を選定し、ローレル賞を授与しています。
 
 選定されたのは、宇都宮ライトレールのHU300形電車です。昨夏、宇都宮駅東口〜芳賀・高根沢工業団地間を結ぶ路面電車「芳賀・宇都宮LRT」が開業し、17編成51両が新製されました。

「雷都を未来へ」のコンセプトをもとに、外観は一般アンケートの結果を受けたデザインに。黄色を基調とし、前面に大型曲面ガラスが採用されています。内装には間接照明や大きな側窓などが採用され、車体幅は超低床式車両としては最大の2650mm。座席幅450mmも一般鉄道並みであり、利便性と快適性を両立しています。また全ての扉から乗降を可能とすべく、乗車用・降車用のリーダーが各扉の左右に設けられています。

 HU300形について、選考委員会は以下のように話します。

「新規開業のLRT路線における、インパクトのあるデザインの車両であることから、社会的にも大変に注目されるとともに、次世代のLRTを期待させるポテンシャルの高さからローレル賞に選定しました。なお、会員投票でも1位とほぼ同数の1000票を超える60%以上の支持を受けています」

 一方で、HU300形が次世代のLRTを志向するためには、以下の検討が必要だとも指摘します。

・IC乗車券用の乗降読取機が車両側に設備されていることは評価できるが、実際の運用で、IC乗車券を持たない乗客の乗降に時間を要して遅れが生じる事態が発生した。駅等の地上側設備や乗車券システム全体の改良など、信用乗車の今後に向けた検討が望まれる。

・現在は、軌道法による制限のため最高速度は40km/hに抑えられているが、今後、運転速度の向上が期待されている。本車両の運転最高速度は70km/hとされているが、高速域での走行安定性に改良の余地が感じられるので、今後の改善努力が望まれる(いずれも鉄道友の会)。