「ニュースソノアト」のコーナーでは、気になる話題のその後を取材、深堀りします。
今回取り上げるのは、元プロ野球選手・川口和久さんの「ソノアト」。
鳥取市にUターンして米づくりに取り組む川口さん、野球指導との「二刀流」2シーズン目を追いました。

2年前、関東から鳥取市にUターンした元プロ野球選手・川口和久さん。
ふるさとで取り組む2つの挑戦。

川口和久さん:
「この背中をみんなが見て、鳥取のお米を作ろうと。浮気はするなと」

経験ゼロからの米づくりと…

川口和久さん:
「ここにボールを置いて、そこから背中の軸を回して投げる。良い投げ方じゃん!」

未来のプロ野球選手の育成。
2022年、1年目のシーズンは…

川口和久さん:
「80点くらいでしょ。農業ルーキーですから、1年目ですから。新米が新米を作ったということでよろしいでしょうか」

2023年、春の田植えでは…

川口和久さん:
「野球界もあるんだよ。2年目のジンクスってのがね。ははは」

開幕した2年目のシーズン。
「農業」と「野球」の二刀流はさらに進化していました。
実りの秋。川口さんが乗り込むのはコンバイン。
舗装された道路を通って向かうのは…

川口和久さん:
「ちょっと大阪まで…行けるわけないでしょ。今年初めてやる2反7畝の田んぼをこれから稲刈りします」

2022年のシーズンは2反の田んぼだけでしたが、2023年は、さらに近くの田んぼを借り受け、栽培面積は2倍以上に。
さすが2年目、稲刈りもサクサク…と思いきや…
思い通りに動かないコンバイン。見かねた近所の農家が手伝ってくれました。

川口和久さん:
「難しいね、難しさいっぱいあるわ。おれ、下手。あはははは」

それでも、最後は自ら登板を申し出て”投手交代”。2年目の稲刈りを終えました。
収穫できたお米は2022年から大幅増の約2トン。
贈答用を増やして、鳥取県のブランド米「星空舞」を県外にPRします。

川口和久さん:
「去年より今年のほうが出来が良くて楽しみです。まだ食べてないけど」

2023年、充実したのは農業だけではありません。

川口和久さん:
「ウェーイ、スローイングナイスゥ!」

この夏、米づくりの合間を縫って、鳥取・若桜町で野球教室を開催。
これまでにも、少年チームや高校の野球部から依頼を受けて指導してきましたが、この教室はみずから開きたいと申し出ました。

川口和久さん:
「11人の子どもたちと野球をして遊びましたけど、やりたくてもできないという環境をどうにかしてあげたいという一心で、一緒に野球を楽しみました」

小学生の軟式野球の競技人口は、2012年、全国で27万8000人でしたが、2022年には17万人と10万人以上減少しています。
地方では特に深刻で、ここ若桜町では、2022年、少年野球チームがすべて消滅しました。

保護者:
「子どもたちは野球やりたいというのがあるけど、どうしても人が少なくてできない。大人からしたら残念」

ひとつの町から野球少年がいなくなる…
こうした危機感から、川口さんは初心者11人を集め、野球の楽しさを伝えました。
道具はやわらかいボールや軽いバット。すべて川口さんの自腹です。

参加した子ども:
「楽しい」
Qどんなところが楽しい?
「バッティングで勢い良く振れるところ。前より打てるようになった」

チームを強くする指導だけではなく、2023年は、野球の裾野拡大がひとつのテーマです。

川口和久さん:
「こうやって、いろんな地域を回って野球教室をやっていきたいなと思います」

現役時代の川口さんは、1年目、2軍生活が続きましたが、2年目に頭角を表し、3年目に15勝を挙げて大ブレイク。
そんな現役時代と、現在の”二刀流”の生活を重ねます。

川口和久さん:
「うまく行かなかった去年でしたけど。今年は間違いなくステップの年だった。ようやく水に慣れてきたかな。もちろん来シーズンにつながりますね」

農業も野球の指導も新たな進化を見せた2023年のシーズン。
飛躍間違いなしの3年目、来シーズンも川口さんから目が離せません。