シェフとして関西などで修業を積んだ男性がふるさと・松江にUターン。
パティシエの両親が営む店にイタリアンレストランを開こうと準備を進めています。
両親と3人のきょうだい、それぞれが食の道に進んだ家族には大きな夢がありました。

松江市の中心部、京橋川のほとりにある洋菓子店「パティスリー・キュイール」。
甘い香りが漂う店内には旬のフルーツをたっぷり使ったタルトなど見た目にも華やかなケーキが並びます。

パティシエの金見俊夫さん・美智子さん夫婦が20年前にオープン。
常連客だけでなく、観光客にも人気のお店です。
店を手伝うのは、金見家の長男、垂音さん。

パティスリー・キュイール 金見垂音シェフ:
「僕がパニーニをここの一角で作らせてもらっています」

高校卒業後、松江を離れ、大阪の調理専門学校に進学。
両親と同じパティシエではなく、シェフの道に進みました。

パティスリー・キュイール 金見垂音シェフ:
「専門学校のオープンキャンパスに行った時に、料理をしている人たちを見て『格好いいな』と単純に思って、1回しか人生はないし、自分も料理の世界に入りたいと思った」

まだ24歳の垂音さんですが、大阪でフレンチを2年、神戸ではイタリアンを3年学んだ後、本場・フランスでも3か月、いずれも「ミシュランガイド」に載る名店で腕を磨いた実力派シェフのもとで修業を積みました。

当時のノートを見せてもらうと試作したパスタのレシピが1冊分びっしりと、書き留められていました。

パティスリー・キュイール 金見垂音シェフ:
「パスタは本当に作るのが楽しかったです。でも求められるクオリティ高いものなので、そこに自分がついていくために最初は必死で休みの日もずっとパスタを作っていました」

そんな修業の日々を過ごす中で垂音さん、ある思いが浮かびました。

パティスリー・キュイール 金見垂音シェフ:
「自分の両親と、自分が一緒になって、美味しいケーキも食べられて、パスタも美味しいものを食べられたら。それは凄く自分たちも幸せだしお客様も幸せになれるんじゃないかなと思いました」

両親の洋菓子店で、スイーツ付きのパスタランチを。
決意を固めた垂音さんは1月、Uターン。
長らく使われていなかった店の2階のカフェスペースをレストラン風にアレンジ。
3月のオープンに向け準備を始めました。

窓際の席は、京橋川を行く堀川遊覧船も眺められる絶好のロケーション。
洋菓子店を手伝いながら、空いた時間にはパスタを試作しています。

この日のメインの具材はブラウンマッシュルームとしいたけ。
キノコが主役です。

パティスリー・キュイール 金見垂音シェフ:
「このブラウンマッシュルームを、ミンチ状にして、3時間くらいずっと弱火で焦げないようにじっくり炒める。これがこのパスタのポイントですね」

さらに蒸し焼きにして香りを引き出した肉厚のしいたけ。

下ごしらえは大変ですが、ここからはあっという間。
この2つの主役にたっぷりの発酵バターを加え、さっとパスタと絡ませます。
パルミジャーノチーズをたっぷりのせれば、ブラウンマッシュルームとしいたけのパスタの完成です。

福島睦アナウンサー:
「ブラウンマッシュルームの旨みがガツンときて、そこから発酵バターやチーズの香りも本当に良くて…。本当に感動しました」

パティスリー・キュイール 金見垂音シェフ:
「自分もはじめて食べた時、衝撃を受けたので、是非皆さんにも食べて欲しい」

店では、ほかにも4種類ほどのパスタを提供する予定です。

両親と違う道を選んだ垂音さんの挑戦、家族にとって大きな夢への第一歩でもあります。

垂音さんの弟・昇音さんはパティシエ、妹の呼幸さんはバリスタとして県外で修業中です。

パティスリー・キュイール 金見垂音シェフ:
「最終的にはその3人で一緒にレストランでもできたらなという夢があるので、そのために自分が一つベースを作ってあげて、2人が帰りやすいような環境を作りたい」

食のエキスパートを目指し、それぞれの道を進む3人のきょうだい。
一家の大きな夢の実現へ歩み始めています。