島根県江津市の有福温泉街にある1軒の花屋さん。東京からIターンした女性が営んでいます。並ぶのは近くの野山で採集した自然の草花。身近な草花を通じて、地元の人にも自然の豊かさに気づいてほしいと発信する女性にスポットを当てました。

温泉街にたたずむ女性。草花で飾られた帽子が目をひきます。この帽子の「アレンジ」を手掛けたのは吉本みどりさん。江津市有福温泉町で、ちょっとユニークな花屋さん「グリーン山田」を営んでいます。どこがユニークなのかと言うと…。

グリーン山田 草花コーディネーター・吉本みどりさん:
「有福温泉の植物だけを使って草花屋をしています」

扱うのはこの地域に自生する花や野草。注文を受けると、贈る相手に合わせて自宅周辺の野山で草花を採集。ブーケやアレンジメントに仕上げていきます。

グリーン山田 草花コーディネーター・吉本みどりさん:
「山の方まで花を取りに行きます」

「満員電車に揺られる」都会ではなく、自然豊かな場所でこそ自分らしくいられるのではと移住を考えるようになったという吉本さん。有福出身の友人を通してこの地域の魅力に触れ、5年前、夫とともに東京から移り住みました。決め手になったのは、やはり「自然の豊かさ」でしたが…。

グリーン山田 草花コーディネーター・吉本みどりさん:
「移住してから、住んでいる人に『何でこんな何もない所に来たの』と言われて、それがすごく寂しくて。こちらに住んでみて植物の多さにびっくりしたし、こんなに自然が残っている所は他にないってその良さを届けたくてお花屋さんを始めました」

今ここにある自然の豊かさ。それはかけがえのない有福の魅力だと、地元の人にも気付いてほしい。それを身近な植物を使ってアピールしようと、東京の生花店で働いていた経験をいかして4年前、この草花屋を始めました。

グリーン山田 草花コーディネーター・吉本みどりさん:
「これを採ります」

原田笑アナウンサー:
「気づかなかったこんな所に」

グリーン山田 草花コーディネーター・吉本みどりさん:
「これも今しか咲かないし、地面でわかりづらい所に咲くので」

季節の移り変わりをそっと教えてくれるさまざまな草花に目を向けます。この日、吉本さんは3時間ほどかけて約30種類の春の草花を集めました。これを帽子に生けていきます。

グリーン山田 草花コーディネーター・吉本みどりさん:
「浜田市に住んでいるモデルさんとのコラボ企画で、有福温泉の魅力をもっと発信するために、春夏秋冬の季節を切り取ったものを帽子にアレンジすることになったので」

季節の草花を使い、新たな形で有福の魅力発信に挑戦します。

グリーン山田 草花コーディネーター・吉本みどりさん:
「完成です。ゼンマイとかシダのぐるぐるはこの時期じゃないと伸びきってしまうので今しか使えない」

帽子の上に有福の「春」を切り取りました。有福温泉街で写真撮影…。モデルは浜田出身のChiakiさん。ファインダーをのぞくのはフォトグラファーの戸倉幹雄さん。ともに島根にUターン、吉本さんの思いに共感し、作品の発信を手伝っています。撮影された写真は、今後、吉本さんの作品展などで公開される予定です。

グリーン山田 草花コーディネーター・吉本みどりさん:
「これだけ自然があふれているところがここにはあるんだよっていうことを伝えたい」

今、ここにあるものの素晴らしさを伝えたい。Iターンしたからこその目線を活かして、地域を盛り上げる吉本さんの営みが続きます。