島根県奥出雲町の高尾小学校では、11年前に課外活動に落語を取り入れ、児童たちが学校の内外で落語会を開いてきました。児童数の減少で学校は統合されることになっていて、2024年度限りで閉校が決まっていうことから児童たちの落語の活動も残り1年を切っています。こうした中、夏としては最後の定期落語会が13日に開かれました。

玄人はだしの仕草で客席の笑いを誘い…。

「いないものをいる様に聞かせて、子どもを怖がらせるとは安い手だ」

巧みな話術で10分にも及ぶ創作落語を披露します。

奥出雲町の高尾小学校で13日に開かれた「にこにこ寄席」。児童数が少ない環境でも、子どもたちに豊かな表現力を身に付けてもらおうと、11年前から落語を課外活動として取り入れ、全校児童が稽古に励んできました。
その後、笑いが健康増進につながると開かれたお年寄り向けの落語会が評判となり、学校での定期公演だけでなく、町の内外のイベントなどにも出向いて落語を披露。その数は年間20回にも及びます。

若葉亭さくらこと岸本結生さん:
「桃の中から子どもが生まれたっていうけれど、本当は桃のような子どもを授かったということなんだよ。本当に桃から生まれたら果物屋は赤ん坊だらけになっちゃう」

そして中入りでは…。

若葉亭さくらこと岸本結生さん:
「『た』ちばなし、『か』あちゃんなかなか、『お』わらない」

学校の名前「たかお」にちなんだ「あいうえお作文」も披露。子どもならではの視点で笑いを誘いました。この誰もが笑顔になる「にこにこ寄席」。2025年4月以降は開かれなくなります。

青葉亭たこやきこと岸本大輝さん:
「高尾小学校がもう今年度で閉校になってしまうことだと思うよ、寂しいな…」

高尾小学校の児童は、落語を披露した3人だけ。高尾小は児童数の減少により、他の小学校と統合され、今年度限りで閉校となります。
3人の児童も2025年度から新しい小学校に通うため、落語の活動はなくなってしまうということです。

観覧した人:
「ずっと毎回来ている。長いセリフを全部覚えていつも感動している」
「本当に寂しい気持ち。落語の力はすごいと思う」

夏の定期公演として親しまれてきた「夏寄席」もこの日が最後。大勢の地域の人たちが集まりました。

青葉亭こやけこと渡部真央さん(5年生):
「いろんな人に拍手をもらって嬉しかった」

若葉亭さくらこと岸本結生さん(3年生):
「閉校になると落語が出来なくなるので、4年生の時も上達したかったなと思います」

「にこにこ寄席」が2024年度限りとなってしまうことに、子どもたちも複雑な心境ですが、その一方で…。

青葉亭たこやきこと岸本大輝さん(6年生):
「人の前で喋ることが得意になった。落語だと人が多い方が燃えるというか。(最後の公演は)悲しんで欲しいけど、『これで最後で良かったな』と言って帰って欲しい」

11年間の取り組みの集大成となる最後の公演は、2025年3月の「千秋楽」。閉校まで約8か月、小さな噺家たちは「最高の晴れ舞台」を目指して一層稽古に励みます。