政治資金規正法の改正案について自民党は19日の参議院本会議で成立を目指しますが、有識者は法案に抜け道があるとして、裏金問題解決の実効性に疑問を抱いています。抜け道のひとつが、田畑裕明衆議院議員の政治資金パーティー案内状にあった「ご入金のみ」の項目です。有識者は資金集めの方法そのものを見直すべきだと警鐘を鳴らします。

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18日開かれた参議院の政治改革特別委員会。岸田総理が答弁に立ちました。政治資金規正法改正案について自民党は19日の本会議で成立を目指しています。

しかし、改正案には規制の対象外となる政治資金パーティーの「抜け道」があると、政治資金問題に詳しい日本大学の岩井奉信名誉教授は指摘します。

日本大学 岩井奉信 名誉教授:「抜本改正と言いながら、ほとんど何も変わっていないのが私は実態だと思います」

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改正案ではパーティー券購入者の公開基準額が20万円超から5万円超に引き下げられましたが、岩井名誉教授は、金額を下げても裏金問題の解決は図れないと主張します。

日本大学 岩井奉信 名誉教授:「じゃあ誰がそれをちゃんとやっているかというのをチェックする仕組みがないんですよね。全員が5万円以下でパーティー券を買っていますと言われてしまうと、もうそれを信じるしかないと。結局いくらにしようと問題は残るんだと言わざるをえないと思いますよね」

おおっぴらに文章で書くのは慎むべき…

さらに問題のある「抜け道」と指摘するのが、自民党、富山1区選出、田畑裕明衆議院議員の政治資金パーティーについてです。案内状に記載した「ご入金のみ」の項目です。

日本大学 岩井奉信 名誉教授:「ご入金のみというふうになると、パーティーの対価というよりも政治献金をお願いしているということになりますから、パーティーの費用というふうには認められないというのが実態だと思いますので、この政治資金パーティーの案内にこれを書くというのは問題だし、場合によっては違法行為だと言わざるをえないだろうと思います」

政治資金規正法でパーティー収入は事業収入に位置づけられ、参加の対価として会費が支払われるものだと総務省は説明しています。

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しかし「ご入金のみ」の場合、禁じられている企業・団体による政治団体への寄付にあたる可能性があり、岩井名誉教授はパーティーであいまいな形の資金集めをすること自体が問題だといいます。

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日本大学 岩井奉信 名誉教授:「お金を出していい人、いけない人、一応献金にはその規制があるんですね。しかし、パーティーはそれがない。パーティーというもので対価なのか、それとも実はそのまま献金なのか。政治家からすると金だけ集められればいいわけですから献金の方が本当はいいんですよね。しかし、それをですね、大っぴらにこう文章で書いていくとかいったことはやっぱり慎むべきことだろうと思います」

お金の集め方、どうすべきか考え直すこと…

自民党の派閥の裏金問題を受けた政治資金規正法の改正案。政治資金パーティーのあり方を巡って岩井名誉教授は資金集めの方法そのものを見直すべきだと話します。

日本大学 岩井奉信 名誉教授:「今のやり方でいくとまだパーティーについてはさまざまな規制があるとはいえ、かなり緩い。事業収入全体から見るとほとんど規制がないという状態。そういう中でお金集めをしていくとなると、じゃあ献金とどこが違うのかということも考えてですね、もう一度お金の集め方というのをどうあるべきなのかというのはきちんとゼロから考え直す必要があるのかなという感じがしますよね」

田畑議員は18日予定していたパーティーの開催を中止していて、案内状の「ご入金のみ」については誤解を招く表現だったとして今後は案内の方法や表現について見直すとしています。一方、過去にどれくらい「ご入金のみ」のパーティーがあったかなどについては質問に答えていません。

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