人口減少によって人手不足が深刻な問題となっています。2040年に不足すると予想される介護人材の数は約69万人。高齢化によって介護を必要とする人の数は年々増える一方、働く人の数は不足しています。

こうした状況を受けて今、介護施設や病院が力を入れているのが、「外国人労働者の受け入れ」です。実際に受け入れを行う名古屋市内の病院を取材しました。

「とても真面目。働き方としては満点」 城西病院で働くインドネシア出身者

「みんなと仕事をやることは楽しいです」とダンディさん

名古屋市中村区にある偕行会城西病院です。日本人スタッフと一緒に介護業務を担っているのは、インドネシア出身のダンディさん。ダンディさんは特定技能制度で2023年9月に来日。研修を経て、2023年11月からこの病院に勤務しています。

ダンディさん:
「ちょっと待っててね。いっぱい人がいますね」

ダンディさんは入院患者の介護を担当。患者の移動の補助や食事の配膳、ベッドメイキングなど、日本人と同じ業務を日々こなしています。

ダンディさん:
「患者さんを助けて、みんなと仕事をやることは楽しいです」

偕行会が運営する病院では求人を出しても応募が集まらず、これまで介護職員の人手不足が続いてきました。そこで外国人材に目を向け、2023年度、25人のインドネシア人を受け入れました。

偕行会城西病院 服部好子看護部長:
「とても真面目。1日も休んだことがないし、遅刻もない。働き方としては満点をあげられる」

円安、言葉の壁、職場環境 専門家は外国人に介護現場で働いてもらうための課題指摘

世界中で介護職員の獲得競争が起きる

日本の介護現場で増えている外国人の職員。専門家は今後も外国人に働いてもらうには、様々な問題があると指摘します。

帝京科学大学 渡辺長講師:
「世界中で介護職が不足している。アフリカを除く多くの国々で高齢化が進んでいるので、介護職の人たちの需要がひっ迫している。特にインドネシアなどの人口を多く抱えた国とかは、ぜひ来てもらいたい(と希望する)国々がたくさんある。今後、人材獲得競争が世界の中で起きてくる。そうなった時には(日本にとって)円安はデメリットになる」

日本が選ばれる国になるために大切なこととは…

渡辺講師:
「言葉の壁が1番の大きな壁になっている。インドネシアならシンガポールに行けば、自分たちの母国語がそのまま通じる。そういう意味で日本語は習得するのが大変でハードルが高い。それを上回るメリットとして、給与的インセンティブをつけること。あとは文化的なフィルターをちゃんと配慮した形で、外国人の人たちにとって、働きやすい職場環境を整えてあげる。それを進めることで、より定着が進む」

イスラム教徒の人材確保へ 「お祈り部屋」「シャワー室」完備

病院内にお祈りの部屋を設置

外国人にとって働きやすい環境作りとは…

お昼休み中のダンディさん。昼食を終えると、別の部屋へ。待つことおよそ5分。何をしていたのでしょうか?

ダンディさん:
「顔を洗って、手を洗って、お祈りをします。1番大事な時間」

ダンディさんはイスラム教の信者。イスラム教の教えでは、1日5回、決められた時間に行う礼拝があります。そこで病院は「お祈りの部屋」を用意。礼拝前には手や口などを水で清める必要があるため、シャワー室も完備しています。

偕行会海外人材開発部 熊澤和秀副部長:
「われわれ日本人が彼らを理解して、どのようにサポートしていけばよいのか、常にコミュニケーション取りながら、声を聞きながらサポートしていく」