来月以降の電気料金は政府の補助金の廃止と再生可能エネルギー普及に向けた賦課金の引き上げなどによって値上がりする見通しです。今年も猛暑が予想されるなか、どのような対策ができるのか取材しました。

■電気料金の負担増 対策は

 30℃を超える真夏日が続出した28日の日本列島。エアコンや扇風機などが早くも恋しい気温となっていますが、悩ましいのが「電気料金の値上がり」です。

環境エネルギージャーナリスト 本橋恵一氏
「電気料金が非常に上がった時期(2年前)があったが、その時から政府は1キロワットあたりの補助金を出している。これが5月には半分の1.75円に。6月からは全くなくなる」

 ロシアのウクライナ侵攻や円安をきっかけとした燃料価格の高騰、その負担を軽減させるために去年から行われていた、いわゆる「激変緩和措置」。これが来月に減額され、6月で終了します。

環境エネルギージャーナリスト 本橋恵一氏
「2カ月かけて、これだけで(1キロワットあたり)3.5円値上がりする。一般家庭の消費電力を400キロワットとすると(月に)1400円の値上がりになる」

 それだけではありません。太陽光や風力など再生可能エネルギー普及のために上乗せされている「再エネ賦課金」が5月の電気料金から1キロワットあたり約2円値上がりします。

 激変緩和措置がなくなった7月になると増える負担は5円以上で、環境省による1世帯あたりの消費電力で計算すると、年間2万円3000円ほど電気料金が増えることになります。

 さらに、電力会社によっては将来の安定供給のため今月から始まった「容量拠出金」が大きく上乗せされる可能性もあるのです。

環境エネルギージャーナリスト 本橋恵一氏
「(Q.何か(節電)対策できることは?)家で電気を使うのは冷蔵庫とエアコン。この2つをどう抑えるか。冷蔵庫を冷房を強にしないとか、例えばエアコンの掃除をするとか部屋の断熱効果を上げるとか。そうした工夫が(節電の)大きな効果を生む」

 また、その他の方法で電気料金が劇的に変化した家庭もあります。

 東京・町田市の住宅の屋根に太陽光パネルが設置されています。果たして電気代、いくらくらい変わるのでしょうか。

去年10月に太陽光パネルを設置した人
「(パネルと蓄電池を)付けたら電気代が一気に安くなった」

 こちらの自宅では別棟に愛犬の部屋があり、24時間稼働のエアコンを設置するなど、月々の電気代は3万円ほどだったといいます。

去年10月に太陽光パネルを設置した人
「元々、電気をよく使う家だったので、月に多い時で電気代が3万円とか2万円弱だったのが、(設置後は)安い時で2000円台。多くて6000円くらい」

 実際に請求金額を見せてもらうと、太陽光パネル設置前の令和5年1月の電気料金は1万9584円ですが、太陽光パネル設置後の令和6年1月の電気料金は4214円。約1万5000円の電気代を削減することができています。

 今回、取材した家庭では太陽光発電と蓄電池を一括見積りできるサイトで検討し、設置料金は300万円。そのうち国や自治体からの補助金が200万円以上だったといいます。

去年10月に太陽光パネルを設置した人
「(かかった費用は)実質60万円なので、月に1万円くらい安いと考えると60カ月、5年で60万円は元を取れる金額」