親子丼にみそ汁が付いて300円。東京・蒲田にある店の広さは約5畳。定点で観察すると、奥の客が出るのに手前の客がいったん外へ…。

浅草にある本格ベトナム料理店は約4坪。珍しい料理が食べられると客がやってきます。狭さも店の魅力。客同士の距離が近く仲良くなり、料理をシェアする様子もあります。

神田にある焼き肉店は2.2坪、約4畳。テーブルを囲み客は立って食べます。焼肉盛り合わせはA5ランクの牛のリブロース、牛タン、ヒレ肉など6種類で1000円。七輪が2つしかないので、初めての客同士でも会話が弾み、開業から15年で300組以上のカップルが誕生したといいます。

■小さな店に詰まった“大きな夢”

店内は、わずか2.5坪

蒲田駅から徒歩3分。1年半前にオープンした「親子丼ヤマカ1」。店内は、わずか2.5坪およそ5畳という狭さです。

客席は壁に設置された、幅10センチほどの棚のようなもの。そんな狭い店に、わざわざやって来るのは…。


「300円は安いですよ」
「まさか300円で、こんなおいしい親子丼を食べられるなんて」

ワンコインでお釣りがくる、激安の親子丼。“極せま”の店で提供するのには、店主の秘めた大きな夢がありました。

カウンターの前に人一人立つのがやっとの店内。奥の席に行くのも一苦労。この状況は、日常的に起きていました。

食事中、電話が鳴り表に向かう客。入り口付近の男性は、いったん外へ。アツアツの料理がテーブルに出され、食べていると、先ほどの客が戻ってきます。男性は再び外へ、手に丼(どんぶり)を持ったままでした。奥の席は、入るのも出るのも他の客の協力が必要なのです。

親子丼

そんな思いをしても客が来るのは、半熟のたまごでとじた300円の親子丼があるから。激安だからと、侮るなかれ、たまごは空気を含んでいるようにフワフワで、口の中でとろけます。

お肉もやわらかい

お肉はだしの味が染み込んでいて、やわらかくて、くどくはない甘さで食べられます。

秘密は「しょうゆ」に

客をとりこにするくどくない甘さ。その秘密は、しょうゆにありました。

親子丼ヤマカ1 オーナー 大慈弥拓也さん(47)
「うちのしょうゆは、九州の(大分県)臼杵でつくっている甘じょうゆなんです」

みりんを使わず、甘じょうゆと砂糖で仕上げるため、後を引かない甘さになっているのです。そのダシで鶏肉を煮込み、たまごを2つ使って手早くとじます。フワトロのたまごに、ほどよい甘さの親子丼が完成です。

年金受給者でも気軽に食べてもらうため、価格を300円にしていますが…。

大慈弥さん
「赤字です。(家賃が)高いんです。使っていないけど、2階があるんです」
賛同者を募り「子ども食堂」の実現を目指す店主

客席が倍以上ある店と家賃は変わらないといいます。にもかかわらず、今は使われていない2階の部屋。実は…。

大慈弥さん
「券売機があるんですけど…。物価高とかで、格差が広がってしまって、食事できない子どもがいる。2階で(無料で)食べてもらうという活動をゆくゆくはしたい」

賛同者を募り「子ども食堂」の実現を目指す店主。“極せま”店には、未来ある子どもたちへの熱い思いが詰まっていました。


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