2030年には高齢者の7人に1人が認知症との推計が発表されました。誰もが認知症になるリスクがあるなか、早期発見や介護など対策の今を取材しました。

■認知症高齢者“7人に1人”迫る

エクサムディー 羽間康至社長
「お持ちのスマートフォンでとれる1分間の自然な会話の音声データから認知症診断する機器の開発を今、進めております」

 音声データから認知症かどうかが分かるというのです。

 1分間で「最近あったうれしかったこと」について話すというお題。そして1分後に診断ボタンを押すと、すぐに結果が出てきました。判断するのは話の内容ではなく、話し方だといいます。

羽間社長
「例えば声の抑揚、あるいはしゃべっている時としゃべっていない時の間がよく空いているとか、そういったところでスコアを点数を計算してAI(人工知能)で算出」

 話始めまでの時間や「えー、うーん」など様々な面から解析するといいます。

羽間社長
「いろんな臨床研究を通じ、精度としては95%を達成。現在、当局と相談をしているところ。数年以内には(実用化を)実現したいと思っています」

 厚生労働省によりますと、日本では65歳以上の高齢者のうちおよそ443万人が認知症だと推計されています。

 また、今後、認知症と軽度認知障害の人数は増え続けるとみられていて、2030年にはおよそ523万人と、およそ7人に1人が認知症患者になると推計されています。軽度認知障害はおよそ593万人にも達するといいます。

■早期発見・治療・介護…対策は

 専門家は、認知症に関する正しい知識を身に付けることが重要だと話します。

医療法人さわらび会福祉村病院 金田大太医師
「認知症になってしまうのは恥ずかしいことだという偏見ですよね。周りからも、この人はもう認知症になっちゃった人なんだという扱いをされてしまうって思っちゃったら、逆に受診して診断されたくないじゃないですか。そんな診断は受けたくないから病院に行かないっていう」

 早めに受診した方が良いといいます。

金田医師
「治療で自分らしくいられる時間が伸びるような治療があるのであれば、やっぱり受けたいですよね」

 アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる新しい治療薬「レカネカブ」を投与できる医療機関は全国で600カ所を超えています。

 また「エクサムディー」では、高齢者の歩行機能をスマホで測定するアプリも開発しています。歩いている姿をAIで解析し、運動機能をデータ化するといいます。

羽間社長
「(Q.歩いただけで運動機能の低下やリスクが分かる?)そうですね。AIで歩行能力を評価して、点数が低かった方については、例えば運動機能の低下という意味で介護状態の手前の運動機能の低下に関する情報を提供したり、あるいは骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など、リスクに関する情報提供やクリニックへの受診といったものを勧奨します」

 一方で、新たな介護向け機器も開発されています。

シリウス 亀井隆平社長
「こちらは入浴が困難なお年寄りや、体が不自由な方が使っているベッドに横たわったまま体を洗ってあげられる機械」

 早速、体験してみます。

布施アナウンサー
「背中がしっかりと濡れている感触はあります。本当に水が漏れていないのか不安なくらい、背中には水分感じる」

 一体どういうことかというと、シャワーからお湯が出るのと同時にお湯を吸い取っているのです。使い方は簡単、水と専用の洗剤を入れるだけ。水がお湯になって出てきます。

亀井社長
「こちらがスポンジになっていて、こちらからお湯が噴き出て周りから吸い上げる形」

 超高齢化社会に向け、様々な取り組みが進んでいます。