大阪公立大学の研究室の薬品庫に保管されているはずの猛毒の化学物質『青酸カリ』と『青酸ソーダ』が、紛失していることが、16日夕方、明らかになりました。

研究に使うという2つの薬品は、猛毒としても知られ、いずれも300ミリグラムほどでめまいや呼吸困難を引き起こして、死にいたるとされています。今回、なくなった50グラムは、約160人分の致死量にあたります。

この研究室に、第三者は入れる状態だったということですが、管理体制については。
大阪公立大学・綿野哲工学研究科長:「部屋に部外者が入ることは可能ですけども、鍵を取り出し、薬品庫を開けて、薬品を取り出すことは、不可能に近いのではないかと考えております」

保管庫の鍵を管理するボックスは、あらかじめ登録された教員と学生のみが開けることができ、ボックスを開け閉めした場合、その人物の名前と開閉日時が記録される仕組みです。

紛失が発覚したのは、先月30日から今月2日の在庫点検。去年6月に点検した際に異常はなかったものの、教員が今月2日に、薬品2点の紛失を確認しました。その後、今月10日まで、教員と学生で捜索しましたが、発見にはいたりませんでした。

今回、紛失した2種類の薬物自体、1998年の実験以降、使用された履歴はないそうです。

紛失がわかってから、警察などに報告するまで、2週間ほどかかった理由については。
大阪公立大学・櫻木弘之副学長:「まず、所在を確認しないといけないということで、自分たちで確認しようと努力をしたことかと思います。2日〜7日の間は連休を挟んでいたので、所在を見つけようということで、隠そうという意図ではなかった」

大学側は、17日にも警察に届け出るとしていますが、紛失届か盗難届かはまだ検討中だということです。

昭和大学の薬学研究科では、毒物、劇物の表記がされたロッカーは南京錠がかけられ、教員以外、開けることができないようになっています。

メッキ工場など、工業用と比べて、保管されているのは少量だといいます。ただ、その管理については。
昭和大学大学院薬学研究科・沼澤聡教授:「大学は、学生もいるし、厳しくすると、自分たちの使い勝手が悪くなってしまう。ある程度、限られた人、非常に少数の人しかいませんので、そういった意味では、工場よりは少し緩いかなと」

これらの薬物は、水を含んで劣化することはあるものの、研究で使うのに支障はないといいます。今回、約1年にわたって気づかなったことにも、不自然な点はないとみています。
昭和大学大学院薬学研究科・沼澤聡教授:「例えば、研究室の責任者が変わったりしたそのタイミングで、危険物を整理してしまうことは、しばしばあります。そのときの記録漏れとかは、実際にはあり得ると思います。大学は開かれてるということは良いことなんですが、危険物管理という意味においては、まだまだリスクは改善しなければいけないところはある」