北海道で撮影されたクマの映像。4頭のヒグマが次々と車道を横切っていきます。専門家は「繁殖期に入ったクマが町に出てきている」と指摘しています。

■4頭のヒグマ 次々車道を横切る

 ドライブレコーダーが捉えたのは車道を横切るヒグマです。その数、4頭。親子とみられます。

運転者
「さすがに4頭も出てくると思わなかったので、びっくりした。ひたすら車を見向きもせず、真っすぐ前を向いて横切って、そのまま振り向きもせずやぶの中に抜けていった」

 北海道北部の枝幸町。林から突然、先頭の1頭が飛び出し、2頭目、3頭目と続き、最後の4頭目は前を走るクマよりも体が大きいように見えます。専門家は…。

酪農学園大学 佐藤喜和教授
「最初の3頭が子で、一番最後が親かなと。3頭の子グマを連れている三つ子である可能性」

 3頭の子グマと母グマとみられる親子が車道を走って横切った訳は…。

酪農学園大学 佐藤喜和教授
「何かに追われていたのかもしれない。その時に車が来ていることに気付き、慌てて走って渡ったか。今、クマの社会では繁殖期なので子グマを連れた母グマは雄を避けるような行動をしている。近い距離で遭遇してしまうと子グマを守るため、積極的に防衛行動を取ることがあるので注意」

■クマが小学校にフェンス乗り越え

 21日、青森県むつ市では小学校にツキノワグマが侵入しました。

クマが侵入した小学校の教頭
「朝の子どもたちの登校がすべて終えた後に午前8時15分ごろ、学校の中に入っていくところを見たと通報を受けた」

 体長1メートルほどのクマが学校の裏側に回り、グラウンドへ。フェンスを乗り越えて去っていったといいます。

クマが侵入した小学校の教頭
「何しろ柵も乗り越えて道と関係なく入ってくる。十分、安全対策を取っていかなくてはいけない」

■襲ったクマ「スーパーK」 関連は

 秋田県鹿角市では、警察官2人がクマに襲われる被害が出ています。

 15日にタケノコ採りで山に入った64歳の男性が3日後の18日、山の中で倒れているのが見つかりました。男性はすでに死亡していて、警察官2人が運び出そうとしていたところクマに襲われ、顔や腕などに大けがをしました。

 山の管理者はタケノコ採りに入った男性について…。

山の管理者
「36年の付き合い。時期になるとタケノコを売りに来る人」
「(Q.この辺りはクマの目撃は多い?)40回くらい見ている。クマばっかり。すぐ隣で爆竹を鳴らしても逃げない。ゴロゴロしている」

 今回、山で見つかった男性がクマに襲われたのかは分かっていません。

■「スーパーK」人襲う狂暴クマ

 地元の住民は8年前に起きたクマによる凄惨な事故を思い出すといいます。

鹿角市の住民
「その事件、事故があってからクマに対する考え方が変わった。続けざまに同じ場所で4人が襲われて亡くなった。常に地元の人からそういう(クマの)話は出てくる」

 8年前の2016年、鹿角市ではタケノコ採りや山菜採りで山に入った男女合わせて4人の遺体が見つかり、いずれもクマに襲われたとみられています。

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦理事長
「未曽有の事件ということで、『スーパーK』と名付けた。人間を襲って食べるという事故だった」

 当時、現地調査をした日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長は、4人目の被害者が出た現場近くで大型の雄グマを目撃。被害を出した“主犯”と推測し、「スーパーK」と名付け、行方を追っていました。

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦理事長
「『K』というのは秋田県鹿角市(Kazuno)という意味。4人がクマに殺され、食害を受ける本州では最大の事故だった」

■「スーパーK」は駆除 凶暴グマ他にも

 今回、警察官を襲ったクマとスーパーKとの関連は…。

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦理事長
「駆除されたのを確認しつつ来た」

 米田理事長によりますと、スーパーKはすでに駆除されたといいます。

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦理事長
「ただ、残存しているのかという話になると赤ん坊が合計5頭いた。それが成長して成獣になっているかもしれない。成長して(当時を)思い出すこともあるだろうし」

 鹿角市で今月18日に男性が見つかった場所は道路状況が悪く、やぶになっていて見通しも悪いため、21日朝から重機を使って道路を広げる工事が進められています。