「社会と刑務所の生活で一番違う所はどこですか?」

「これ言ったら問題かもしれませんけど自分は正直、社会より刑務所の方が楽だなと…」

「え、どういうところがですか?」
私は意外な答えに驚き即座に問い質した。

「ここでは何かルールを破ったらすぐ懲罰になり形として現れます。頑張れば頑張った分だけ評価される。でも社会ってなかなか評価されたくてもされないし、ダメだよと言う人もいれば言わない人もいます。そう考えた時にこっちで生活している方がダメなことはダメって言われるし、いいことはいいって言われるし、正直こっちの方が楽だなって…」

刑務所の方が楽…。にわかに信じがたい言葉を発したのは20代前半の受刑者Aだ。10件ほどの特殊詐欺を繰り返し、懲役4年半の実刑となり少年刑務所で服役している。被害総額は3000万円以上に上るという。

丸い銀縁眼鏡をかけ、少々、神経質そうにも見えるが頭の回転は速そうだ。個人的なことになるが、自分にも同じ年頃の息子がいる。親として、記者として彼からもっと詳しく話を聴きたいという衝動にかられた。

昨夏は特殊詐欺犯であふれる少年院の実情をお伝えした。今回は特殊詐欺犯の収容が後を絶たない少年刑務所の実態と、少年院と少年刑務所の違いをご紹介したい。
(テレビ朝日報道局デスク 清田浩司)

■教育で更生させる少年院 刑罰の場である少年刑務所

刑務所
刑務所

まずは少年院と少年刑務所の違いを簡単にご説明したい。少年院に入るのは概ね12歳から20歳までで、刑事裁判ではなく家庭裁判所での審判で少年院送致となった者だ。学校と同じように個別に担任教官がつき、生活態度や学習状況などからどこまで更生が進んでいるかを評価し、月に一度「成績告知」という形で面談が行われる。成績次第で在院期間は長くも短くもなるが概ね11カ月程度で社会復帰となる。少年院はあくまで教育により少年たちを更生させ社会復帰させる場である。   

一方、少年刑務所は刑事裁判を受け実刑判決が確定した者が送られてくる。26歳未満で犯罪傾向が進んでいない刑期10年未満の男性受刑者を収容する。「少年」を名乗っているが、実は収容者の大半が20代前半だ。つまり少年刑務所は懲役など“刑罰”を与える場であることが少年院との最大の違いであること念頭に置いていただきたい。


関連記事

テレ朝newsの他の記事もみる

あわせて読む

社会 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

社会 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索