先週「仙人なりたい」と言い残して退任した川勝前知事。17日、8日ぶりに静岡県庁に姿を見せました。これまで対立を続けてきた県議会への退任のあいさつは?

17日、静岡県議会。臨時の議会が開かれ、中沢議長の辞職に伴う議長選が行われました。過去には川勝前知事と、度々あつれきを生んだ県議会。知事の席は空席に…。

(2021年 川勝知事・当時)

「あちら(御殿場市)はコシヒカリしかない。だから飯だけ食ってそれで農業だと思っている」

”コシヒカリ発言”が問題視された川勝前知事。当時、県議会では初めて辞職勧告決議が可決されました。

(2021年 川勝知事・当時)

「これから年末にかけて猛省の期間にしたい。来年は生まれ変わったような人間になってみようと富士山に誓いました」

ただ、その後も対応を問題視され、2023年、知事に対して50年ぶりに不信任案が提出されるなど、県議会との関係は修復不可能といえる状況になっていました

17日、川勝前知事が県庁に姿をみせたのは、正午ごろでした。

(記者)

Q.「何か一言ありますか?」

(川勝前知事)

「…」

記者陣の質問には何も答えることなく、県庁の一室に入ります。部屋には、県議会の議員らが集められ、川勝前知事のあいさつは、非公開で行われました。

(川勝前知事)

「県議会の皆様、15年間にわたるご厚ぎ、まことにありがとうございました。厚く、御礼を申し上げます」

そして、「置き土産」として自身の構想を語りだします。

(川勝前知事)

「特に本県の魅力である文化力を上げる具体策があります。最後にそれを数例 申し上げて、置き土産といたしたく存じます。課題は目下 本県にはない全面的な国際大学、仮称『マウントフジ インターナショナルユニバーシティ』の創設です。物づくり県の特色を発揮するために、国際的な活躍をする企業群のもつ実学の資産をベースに教育を行えば独自色を出せます。次に食と農の分野では、中央日本のガストロノミー・ツーリズムの推進です。第三に、行政では中央日本各県が互いに協力すれば“山の洲”の広域圏が実現可能です」

川勝節が満載のあいさつは、最後にこう締めくくりました。

(川勝前知事)

「すべての元は自然です。自然環境を大切にし、命の水は守るのは、県民、なかんずく県民の代表たる者の使命であります」

約6分間の挨拶。川勝前知事と対立してきた、県議会最大会派の自民改革会議は…。

(自民改革会議 相坂 摂治代表)

「15年間のお礼がありました。置き土産として山の州への思いや国際教育への思いなど」「川勝知事が続けてきた政治が節目を迎えたので新しい局面に早く切り替えていかなければならない」

一方、川勝前知事を支えてきた「ふじのくに県民クラブ」は…。

(ふじのくに県民クラブ 田口 章 会長)

「(表情が)穏やかでした きょうは。これまで緊張感のある知事職を続けていたことから解放されたのかなという印象はうけた」「ご自身が静岡県でやりたかったことを最後に申していた。静岡県にはいろいろな魅力があるので高めていってほしいと話をしていたのが印象的」

最後まで記者陣にあいさつの内容についてふれることはありませんでしたが…。

(記者)

Q.「川勝さんリニア問題に関して岐阜のほうで水の問題ありましたけども、その件に関してどう感じたか一言いただけますか?」

(川勝前知事)

「どの沢どの渓流もみな水位が下がっていってますね、それの一事例が岐阜ではないでしょうか」

その一言を残し、県庁を後にしました。