アディショナルタイムの劇的ゴールの理由/六川亨の日本サッカーの歩み

アディショナルタイムの劇的ゴールの理由/六川亨の日本サッカーの歩み

先週末の土日は、J1リーグとJ3リーグの最終戦とJ1参入プレーオフ2回戦が行われ、様々なドラマがあった。

まずJ1リーグでは、16位の名古屋が2点のビハインドをジョーのPK2発で追いつき、湘南と2-2のドロー。しかし、この時点では名古屋の16位は変らなかった。ところが等々力で行われた川崎Fvs磐田で、後半アディショナルタイム4分までスコアは1-1だったが、残り30秒で磐田のDF大井がOGを献上。12位の横浜FMから16位の磐田まで勝点41で並んだが、得失点差で磐田が16位に降格し、J1参入プレーオフに回ることになった。

元々、得失点差でハンデのあった磐田だったし、最終戦の相手がリーグ連覇の川崎F。優勝を決めた試合とその後のFC東京戦もアウェイだったため、ホーム最終戦で連覇の報告ということでモチベーションも高いという不利な状況だった。

ただ、まだ降格が決まったわけではない。東京Vとの一戦を勝つか引き分ければ残留が決まる有利な立場に変わりはない。

その東京Vだが、こちらも劇的な勝利だった。横浜FCとの参入プレーオフ2回戦は0-0のまま7分のアディショナルタイムに突入。そしてラスト1分というところで東京Vは右CKにGK上福元が攻撃参加した。ニアサイドに飛び込んだ上福元はフリーでヘディングシュート。これは横浜FCのGK南がよく反応して弾いたが、ドウグラスが押し込んで“虎の子"の1点を守り切った。

GK上福元のゴールとはならなかったが、11月24日のJ1リーグ、清水vs神戸で清水GK六反が同じくアディショナルタイムに左CKから同点ゴールを決めている。

今シーズンはアディショナルタイムを18分も取ったレフェリーがいたり、大井や上福元のように劇的なゴールに絡んだりした選手がいた。このことについて、12年ぶりのJ1復帰の夢を断たれたカズの実兄である鹿児島の三浦泰年監督は、同日のJ3リーグ相模原戦後、「フットサルのようにアディショナルタイムが残り何分なのか表示すべきではないか。その方が両チームの監督、選手、ファン・サポーターも納得すると思う」と話していた。まったく同感である。

さて、J1リーグでのGKのゴールは22年ぶりとなるが、「コーナーキックの時にGKが攻撃参加すると、意外とフリーになれるんですよ」と教えてくれたのがFC東京のGK林だった。その理由は「コーナーキックでは、誰が誰をマークするのか試合前に監督から指示があります。このためGKが上がっても誰もマークに来ません。自分のマークする選手を、監督の指示を守らずフリーにしてしまうことが怖いからです。あとはボールへの入り方ですね。六反選手の動きは参考になりました」とのことだ。

確かに上福元はまったくのフリーでヘディングシュートを放っていた。林も最終戦の浦和戦でCKからのゴールを宣言していたが、残念ながらチームはアディショナルタイムにCKを獲得することはできず、自身の第二子を祝福するゆりかごダンスを演じるチャンスはなかった。


【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。


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