プレミアリーグ第35節、トッテナムvsアーセナルが28日にトッテナム・ホットスパースタジアムで行われ、アウェイのアーセナルが2-3で勝利した。なお、アーセナルのDF冨安健洋はフル出場した。

5位のトッテナム(勝ち点60)は、13日に行われた前々節でニューカッスル相手に0-4で敗戦し、4位のアストン・ビラ(勝ち点66)との暫定勝ち点差が6ポイントに広がった。自力でのトップ4フィニッシュの可能性を残すものの、4位チームに比べて厳しい日程が控えており、ここからの逆転は至難の業。その最終盤の重要な戦いに弾みを付けると共に、宿敵の優勝阻止を狙う上でも勝ち点3必須のダービーでは2年ぶりの勝利を目指した。

ポステコグルー監督は先発3人を変更。今季絶望のウドジェ代役にベン・デイビス、ビスマとブレナン・ジョンソンに代えてホイビュア、クルゼフスキを起用した。

対する暫定首位のアーセナル(勝ち点77)は前節、ウォルバーハンプトンとのアウェイゲームに2-0の完勝。さらに、第29節延期分ではホーム開催のチェルシーとのダービーに5-0の歴史的大勝。70分過ぎに多くの主力をベンチに下げる余裕の采配もみせ、敵地でのダービーを万全の状態で迎えた。

現状ではマンチェスター・シティの取りこぼしが逆転優勝に必須となる中、その王者にプレッシャーをかけたいアルテタのチームは、中4日でのダービー連戦に向けて全く同じスタメンを採用。冨安は左サイドバックに入った。

ダービーらしく球際でバチバチとやり合う展開ながら、立ち上がりは互いに大きなリスクをかけることなく細かくボールを動かして攻め手を窺う。10分過ぎにはウーデゴールが直接FK、マディソンがショートカウンターからミドルシュートと、両司令塔がいずれもチームファーストシュートを記録。

そういった中、奇しくも前回対戦同様の形からアーセナルに先制点が生まれる。15分、右CKの場面でサカが左足インスウィングの高速クロスを入れると、ニアで冨安と競ったホイビュアのゴール方向へのヘディングのクリアがニアに突き刺さった。

前回対戦の再現かのようにオウンゴールでスコアが動いたダービー。トッテナムも2度のビハインドを追いついたその一戦を再現すべく、すぐさま反撃に打って出る。

そして、19分からの数分間ではマディソンの正確なプレースキックからロメロが2度のヘディングシュートでゴールに迫るが、ここは右ポストを叩く。

さらに、22分には左CKの二次攻撃からペドロ・ポロのミドルシュートのこぼれ球にボックス中央で反応したファン・デ・フェンが冷静に左足のシュートを左隅に流し込む。だが、同点ゴールかに思われたこのプレーは際どいオフサイド判定で認められず。

続けざまのピンチを凌いだアーセナルは前回対戦のPKとは異なる形となったが、同じスコアラーが2点目を記録する。27分、自陣ボックス内でライスがマディソンを潰した流れから、中央でボールを持ったサカが左のハヴァーツに預けて右の広大なスペースにスプリントすると絶妙なリターンパスが届く。そのままボックス内に持ち込むと、冷静にDFベン・デイビスを切り返しでかわして左足のコントロールシュートをゴール左下隅に流し込んだ。

追い上げムードの中で痛恨の2失点目を喫したトッテナムは、さらに右ハムストリングを痛めたヴェルナーがプレー続行不可能となってブレナン・ジョンソンのスクランブル投入を余儀なくされる。

一方、冷静にゲームプランを遂行するアウェイチームは自分たちのストロングであり、相手のウイークであるセットプレーから決定的な3点目まで奪って見せる。38分、左CKの場面でキッカーのライスが右足インスウィングの正確なボールをゴール前に入れると、普段通りにホワイトがGKヴィカーリオをブロック。大外からクルゼフスキを振り切ってニアに入り込んだハヴァーツが打点の高いヘディングシュートを叩き込んだ。

その後、前半のうちに何とか1点を返したいホームチームが後ろ重心の相手に対して、リスクを冒したハイプレスからのショートカウンター、サイドを起点とした攻撃から攻め立てたが、ポロのフィードに抜け出したボックス内での決定機はソン・フンミンが仕留め切れず。

スコア上ではアウェイチーム圧倒の前半を経てダービーは後半に突入。3点を追うトッテナムはベンタンクールを下げてサールをハーフタイム明けに投入した。

アーセナルは立ち上がりにセットプレーから冨安がダイビングヘッドでファーストシュートを記録すると、53分には左サイドでの崩しからハヴァーツの丁寧な折り返しにファーで反応したサカに決定機。だが、左足のボレーシュートはGKヴィカーリオの右足を使った好守に阻まれる。

4失点目は回避もなかなか攻撃の糸口を見いだせないトッテナムは60分を過ぎて2枚替えを敢行。ホイビュアとマディソンを下げてビスマ、リシャルリソンを投入。前線の並びに変化を加えると、この直後に意外な形から反撃の狼煙を上げるゴールが生まれる。

64分、サリバからバックパスを受けたGKラヤが圧力を受けた状態で欲張って繋ぎを試みると、キックミスで正面のロメロにボールを渡してしまう。この絶好機でロメロは冷静にゴール左隅へ右足シュートを流し込んだ。

この1点でスタジアムのボルテージが一気に上がり、しばらくはホームチームの攻勢が続いたが、徐々に落ち着きを取り戻したアーセナルが自陣でブロックを構えながら対応していく。

後半半ば以降はアーセナルがうまく試合を落ち着かせて膠着状態が続いていたが、ダービーは終盤に動く。84分、ボックス内でのルーズボールの競り合いでライスがベン・デイビスを蹴り上げてしまう。一度プレーは流されたが、オンフィールド・レビューの結果、トッテナムにPKが与えられる。これをキッカーのソン・フンミンが左隅に蹴り込んで87分に1点差に詰め寄る。

これで一気に勝敗がわからなくなると、アーセナルはウーデゴールを下げてキヴィオルを投入。5バックでの逃げ切りに入る。

6分が加えられた緊迫の後半アディショナルタイムにはトッテナムが決死の猛攻を仕掛けてセットプレーから際どいシーンを作ったものの、試合はこのままタイムアップを迎えた。

この結果、敵地でのダービーを制したアーセナルが暫定首位キープに成功し、リーグ優勝への望みを繋いだ。一方、ホームで最後は意地を見せたものの敗れたトッテナムは、逆転でのトップ4フィニッシュへより厳しい立場に立たされた。

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