レイラック滋賀のFW菊島卓(30)。年々競争力の増すJFLでキャリアを紡ぐこと通算7年目…彼は30歳を迎えた“いま”が一番アツい。

18日、日本フットボールリーグ(JFL)第9節の高知ユナイテッドSCvsレイラック滋賀が行われ、アウェイの滋賀が0-1で勝利した。

滋賀は首位高知を撃破で今季初の2連勝。また敵地での白星も今季初…それも、後半アディショナルタイム5分にDF小野寺健也がセットプレーから劇的弾を決めるという最高の1勝だ。

表題の菊島は、1993年12月31日生まれの30歳。国士舘大学から2016年に栃木ウーヴァFC(現:栃木シティ)へ入団し、2017〜19年はブリオベッカ浦安でプレー。20〜22年まで鈴鹿ポイントゲッターズ(現:アトレチコ鈴鹿)に在籍したのち、昨季より滋賀所属だ。

JFLや地域リーグを長く見つめるファンには、“日本人最強”との呼び声も高いロングスロー、またユーティリティ性がよく知られる菊島。鈴鹿時代に右サイドバックを定位置としたなか、滋賀加入後は本職のセンターフォワードとしてプレーする。

この日も最前線で先発し、強靭なフィジカルを活かしてサイドでも起点となり、巧みな身のこなしから自らシュートに持ち込む場面も。69分の途中交代まで得点に絡まずとも、菊島の存在そのものが首位高知を苦しめた。

試合後は「自分のゴールでチームを勝たせたかった」とフォワードらしさを垣間見せつつ、「最優先は勝利。『今日が分岐点になる』って話をみんなでしてましたし、本当にチーム一丸となって挑んだ一戦。最後の最後に成果が出て良かったですね」と安堵する。

“最後の最後”…90+5分、平尾壮のFKに小野寺がヘディング弾を叩き込んだ決勝点については「(平尾の)良いプレースキックが昨季から自分たちの武器。そこに今季からめちゃくちゃヘディングが強い健也も入ってきて。健也はチームで一番ヘディングが強いんですよ」と誇る。

自身のゴールがなくとも、今回の勝利を納得感あるものとして捉えている様子の菊島。そんな彼は、大卒ルーキー1年目の2016年から今季2024年までの9シーズン中、実に7シーズンをJFLで戦っている。(※)

(※)浦安での18〜19年のみ関東サッカーリーグ1部

「僕が初めてJFLを戦った年と比べると、いまはJリーグからJFLへ期限付き移籍する選手なんかも多いですし、あの頃より間違いなくレベルが上がってます。どのチームも強い感じになってきて、そのぶんやりがいもありますが、上から来た選手と対峙しても『やれてるな』っていう手応えがありますね。楽しくやれています」

JFLを主戦場としてきたキャリアの充実ぶりを口にする菊島。

しかし、長くケガと向き合った時期も。三浦知良(オリヴェイレンセ)とチームメイトだった鈴鹿時代の22年6月に負傷し、滋賀加入後の昨年5月まで戦線離脱…およそ1年間、公式戦のピッチから離れていた。

それでも、「今季はケガなくシーズンに入れたので、近年で最もコンディションがいい」と笑顔。30代に突入したなか、レイラック滋賀の一員として、まだ見ぬJリーグへ。今季に懸ける想いは強い。

「(滋賀に)来たときから『フォワードとしてやってほしい』ってのを明示してくれて…それもケガしていた自分に。僕を拾ってくれたクラブと共にJリーグへ行きたい…大きな目標であり、大きな夢です」

栃木、浦安、鈴鹿、そして滋賀と、計4クラブ7年のJFL経験を持つ菊島卓。長らくJFLでキャリアを紡ぎ、フットボーラーとして脂が乗る30歳となった男は、きっと幼い頃からの夢だったであろうJリーグ挑戦を、レイラック滋賀とともに叶えるはずだ。